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2011年6月26日 (日)

詩・「病棟の回転遊戯」⑥

「療養病棟 Ⅰ」

「ガラガラボコボコ、

シュボシュボ、ガラガラ」

と痰を吸引する患者の隣で

食事をする

療養病棟への移動の説明で

医師が目をそらせた意味が分かる

看護師長は待合室での食事を勧める

どうせ日常的に聞くことになるのを

そのときだけ避けても仕方がない

全て、慣れだ

「ガラガラボコボコ、

シュボシュボ、ガラガラ」

「療養病棟 Ⅱ」

おじいさんは脳の病気で精神が壊れた

チューブで食べ物を胃に送っている

手はチューブを引き抜かないようにグローブをはめ

看護師がときどき

「ガラガラシュボシュボ」

と痰を吸引する

見舞いに来たおばあさんは

何も言わないでグローブの手を握る

看護師がときどき

「ガラガラシュボシュボ」

と痰を吸引する

おばあさんは毎日来てグローブの手を握る

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