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2011年6月26日 (日)

詩・「病棟の回転遊戯」②

「戦士たち」

トイレで隣同士になると

「内臓がほとんどありまへんねん

胃と胆嚢、脾臓、小腸と大腸の3分の2を取りましてん

そやから点滴でもってまんねん」と言って、

「へらへら・・」と老人は笑う

「ガラガラ」と点滴の犬を引き摺って喫煙所へ向かう

さっきまで看護師とのアルサロまがいの会話が

同じ戦士として誇らしく思え

「あのエロ爺さんようやるねえ」

と末期がんの中年がつぶやく

看護師が検温にきて

「あら、39度もあるやないの」と調子を合わせて笑った

「人の病気がそんなにおかしいのか」と一瞬、真顔で言い

もとの「へらへら・・」に戻る

彼は笑っているのではなかった

「へらへら・・」と泣いていたのだ

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