詩・「病棟の回転遊戯」②
「戦士たち」
トイレで隣同士になると
「内臓がほとんどありまへんねん
胃と胆嚢、脾臓、小腸と大腸の3分の2を取りましてん
そやから点滴でもってまんねん」と言って、
「へらへら・・」と老人は笑う
「ガラガラ」と点滴の犬を引き摺って喫煙所へ向かう
さっきまで看護師とのアルサロまがいの会話が
同じ戦士として誇らしく思え
「あのエロ爺さんようやるねえ」
と末期がんの中年がつぶやく
看護師が検温にきて
「あら、39度もあるやないの」と調子を合わせて笑った
「人の病気がそんなにおかしいのか」と一瞬、真顔で言い
もとの「へらへら・・」に戻る
彼は笑っているのではなかった
「へらへら・・」と泣いていたのだ
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