« 私の世界・妻の趣味―我楽陶 | トップページ | 騙されてはいけない34―今起こっている福島原発事故「株価より汚染防止だ」 »

2011年6月20日 (月)

私の世界・棋士の面白い話―奇人加藤一二三九段の魅力②

以下は「加藤一二三九段の魅力」からです。

http://hifumide.gozaru.jp/

加藤一二三九段のこだわりと変(KYなところ)

・盤が畳の目に沿ってないと気になる

・ネクタイは出来るだけ長く結ぶ

・あと何秒?って何回も聞く

・局面が俄然有利になると、咳払い・ネクタイいじり・思わず「ウヒョー」と感嘆の声

・対局時の食事は何年もいつも同じメニューのうな重

・谷川名人に対して、上座に座ってしまう

米長邦雄九段の話

対局前の談話で米長は自ら「今回は奇人と変人の対決です」と語った。どっちがどっちですか、と聞く私に、米長は「私が変人で、加藤さんは奇人でしょう」と言う。

加藤と米長が対戦していた。それを見た関根八段(当時)が、あいさつがわりに「お二人さん、よく顔が合うね」と声を掛けると、すかさず米長九段が応じた。

「気は合わないけど、顔は合います」

(山田史生『将棋名勝負の全秘話全実話』より)

加藤と米長が当たった十段戦のこと。「おやつは何にされますか」という係の者の問いに、

加藤:「あっ!ええ!ミカンをお願いします!皿に一杯で!ハイ!」

米長:「加藤さんと同じものを。量は加藤さんのより多くしてね」

昼下がり、対局場に運ばれてきた信じられない量のミカン。黙々と食べ始める加藤。1日目ということもあり局面の流れも緩やか。狂ったようにミカンを食べる加藤に、ついに米長も反撃開始。

加藤に負けないペースでミカンを食べ始める。時間にして2時間以上、指し手も適当にミカンを食べる両対局者。とうとう堪えきれなくなった記録係が別室にいた立会人に「部屋がミカン臭くて死にそうです」。

立会人が慌てて対局場に駆けつけると、そこには大量のミカンの皮と、顔と手を黄色にした対局者!

こうして初日の対局はなんとか終了、この十段戦はミカンの食いすぎでおかしくなった米長が負けた。

升田幸三九段の話

升田幸三九段に加藤十段好調の秘密を尋ねると、

「加藤が強くなったんじゃないよ。あいつの将棋が変わるかね。中原や大山や米長が五、六年前に比べて弱くなったんだよ。だから勝ちだしたんだ。なぜ弱くなったかって?女だよ女!。米長など週に一度ぐらいしか家へ帰らんそうだ。君、知らんのか?大山の女知らなきゃモグリだぞ」(東公平 将棋雑話より)

升田幸三が「僕の次の名人にしたい男」の筆頭は加藤一二三だった。稀有の棋才を見込んだからこそ、南口繁一九段門下の加藤少年を京都から東京へ、奪うようにして移らせ、なにくれとなく面倒を見たのだ。加藤九段はいまもかたくなに沈黙を守っているが、打倒大山の一番手になり得ず、升田を失望させたことを遺憾としているだろう。』(東公平 『升田幸三物語』より)

加藤九段の対局マナーが批判された時、升田九段は「おまえらは加藤君の素晴らしさがわかならいのか」とよく一喝していました。

田中寅彦九段の話

「島君、この局面で後手を持って一生懸命考えられる棋士は何人いるかねえ」

(劣勢の局面でも一心不乱に盤に向かう加藤を評して。ちなみに島は早投げで有名)

羽生善治九段の話

加藤先生はもう三十年ほどまったく同じ形の将棋しか指されない。食事もいつも同じものを注文なさる。違う食事を注文した日には、将棋会館に衝撃が走る。「今日は鰻じゃなくて寿司を注文したぞ」と、一日中話題になるのだ。持続できることはすごい。同じことを貫くには、非常に強い意志と精神力が必要だろう。(羽生善治『決断力』より)

山田道美九段の話

銀座の人波は、久しぶりにこの都心へ出たボクを驚かして、こんなことを言わせた。

「この中に、真に生き、生きるに値する人は何人いるのかしらねー」

「いや、みんなムダ手だと思うナ」

加藤君はぽつんと言った。自分の考えをふだんあまりださない彼には珍しい言葉であった。

(山田道美将棋著作集、第八巻より

|

« 私の世界・妻の趣味―我楽陶 | トップページ | 騙されてはいけない34―今起こっている福島原発事故「株価より汚染防止だ」 »

面白話・話のネタ」カテゴリの記事

将棋・囲碁」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 私の世界・棋士の面白い話―奇人加藤一二三九段の魅力②:

« 私の世界・妻の趣味―我楽陶 | トップページ | 騙されてはいけない34―今起こっている福島原発事故「株価より汚染防止だ」 »