私の世界・人との邂逅―半分庵とサインの人々②
富士ビルではよくサインの仲間と麻雀をしたのですが、おじいさんが一人で麻雀屋と玉突き、そしてビルの管理をしていました。当然ながら一人三役なので忙しくてほとんど麻雀屋にはいません。したがって、牌を棚から取り出して勝手にやり始めますし、お茶も沸かして入れ、ビールを冷蔵庫から出して飲んでいました。おつまみの柿の種やのりが何処にあるか知っていました。
あるとき、いつものように勝手に遊んでいたらおじさんが戻ってきてつぶやくのです。
「あんたら、遊び人やなあ・・」
昼間から麻雀をしているのでそんなことを言ったのだと勘違いして、
「ちゃうよ、徹夜明けの仕事が終わったので、ちょっと遊んでるだけだよ・・」
「あんたらが遊び人言うたんは、わしを呼び出して『あれせえ・・』、『これせえ・・』言わんと勝手に遊んでいるしや。そんなこと、その辺の堅気のサラリーマンはようしよらへんで。あんたら相当の遊び人や・・」
「へー、そんなもんかなあー・・」
そんなことを言うおじさんも、手の指が何故かありませんでした。
麻雀が終わると半分庵です。ある日かなり飲んでしまって半分庵を出ると、アルバイトの田淵君がビルのガラスのドアに飛びけりをして遊んでいました。当然、硬質ガラスの分厚いドアですから蹴ってもびくともしないものです。
馬鹿なことに、
「俺がやったるわ・・!」
と代わって飛び蹴りしたら、「はずみ」とは恐ろしいもので、どうした訳かみごとに割れてしまったのです。みんな、一目散に逃げてしまいました。
あくる朝、ビルの前に行くとおじさんが飛び散ったガラスの掃除をしているのです。
「何処の奴やろ、こんなんするの人間業ちゃうで。相撲取りの酔っ払いが来たのやろか?」
「悪い奴がいますねー、怪我してへんのやろか?・・」
「それ僕です」は言えなくて、申し訳に掃除を少し手伝ったのです。
話しは別に:よく考えると当時の私はかなりのデブで、90キロ近くありました。柔道をしていたので筋力には自身があったのも災いしました。糖尿になったのもおじさんのバチが当ったのでしょう。ごめんなさい!
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