私の世界・人との邂逅―システム科学の人々・佐々木先生
当時の佐々木綱先生は京都大学の交通工学の教授でした。
私がシステム科学を辞めた後、委員会でよくご一緒しました。と言っても、私は作業委託を受けているコンサルタントの下請けと言う立場です。
始めてお会いしたときは、「佐々木先生は怖い人?」と言う話をする人が居て緊張してお会いしたのです。会って見ると、話と違って非常ににこやかで気さくな先生で「不安?」は吹っ飛びました。
何回か委員会でお会いしていると、私がまだ25歳過ぎで若いからか、大学院の学生か助手と思っているような所が何故かありました。
「金澤君、この間、頼んでおいた計算、うまくいきましたか?・・」
と言う言い方が、学生にレポートの課題を出してその結果を聞くニュアンスそのものなのです。
「実はプログラムに問題があって、まだ答えが出ていません?・・」
と言っても、
「もう少し工夫して、トライしてみなさい、時間はあるのですから!・・」
と言ってくれそうな雰囲気なのです。
委員の先生方を集めておいて「答えがまだ」はない話ですから、そんなことにはならないようにするのですが。
大阪湾岸道路に関する委員会で、先生の京都大学のコンピュータを借りて交通配分の評価計算をしたときの話です。
結果は一応前もって出ていたので、東京へ出張して帰ってからまとめる予定で行ったのですが、東京の作業が徹夜続きで帰りの新幹線だけが睡眠時間という状態でした。夜遅くに事務所に帰って、結果をレポートにまとめるのは不可能と判断したので、一枚の総括表にまとめるだけで精一杯でした。それでも、明け方近くまで掛かったのです。
そんな状態で委員会に出たとき、佐々木先生は瞬時に分かったようです。
「金澤君、結果出たの?・・」
「なに、表にまとめてあるの?・・」
「ほう、十分、十分、分かりやすく上手く出来ているよ・・」
と言ってくれました。前回の委員会では、結果を出して分析レポートを作ることになっていたのです。
話しは別に:私は大学教授がそんなに偉いとは知らなかったのですが、委員会なるものに出ると、着席順で見事に分かります。序列は大学教授、その助手、役所の部長、課長、係長、担当者、受注側コンサルの部長、課長、担当者、そして下請けの私となります。気が遠くなるほど、下等なのです。
ただ、ラッキーなことに、教授の口の利き方1つで私の序列が見事に逆転します。我々下請けが尊敬できる良い先生は、作業者を立てる意味で、まず一番に「金澤さん、どう思いますか?」と聞いてくれるのです。
すると、他の全員が私の序列を教授の次にします。ただし、委員会の中だけの話ですが。
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