« 騙されてはいけない134―今起こっている福島原発事故・「濃縮水貯槽において漏えい」の変? | トップページ | 騙されてはいけない135―今起こっている福島原発事故・「トレンチ等の調査状況」での「高レベル汚染水」 »

2012年1月11日 (水)

私の世界・人との出会い―堀部君は強くて格好良かった③

次の府下大会は宮津市でありました。彼とは決勝戦で当たったのですが今度は僕も上がることは無くて、投げられないようにがんばりました。

寝技で勝つためには相手をこかすか1本を取られないように投げられ寝技に持ち込む必要があります。堀部君はお父さんがそうなのか「体捌きで相手を投げる」柔道で決して「背負い投げ」のような相手にもぐりこんで背中をくっつけて投げるようなことをしないのです。

つまり、投げようとするのをがまんして抱きついて寝技に持ち込むことが出来ないし、少しだけこかされて寝技は無理なのです。

悲しいことに僕には彼をこかす業がありません。前の日に一晩中考えて、最後の必殺技「帯をもって大内掛け」を編み出したのですが試合で掛けようとした瞬間、

「あっ、あかん!・・」

と思いました。彼はビクともしなかったのです。

僕も投げられないように頑張ったので試合の決着が付きませんでした。ラッキーなことに当時は僅差の判定が無く、「技あり以上」なのです。

延長を何回かして、時間が経ってどちらもへとへとになって、よけいに技が決まらず、審判も困ってしまいました。競技委員の先生方は随分長く相談していたのですが、結局両者1位の「引き分け」となったのです。驚くことに後から立派な「1位の盾」がお家に送られてきました。堀部君も同じものを貰っているはずです。

当時は悠長と言うか郡部の柔道連盟なので「お金」があったのかも知れません。市の大会ではメダルがせいぜいで大抵表彰状1枚なのです。

堀部君には謝っておきたいことがあるのです。

2年の試合が桂中学の講堂であったとき個人戦で当たったのです。

実力伯仲して、また決着が付きかねたときの場外近くで、

「分かれるか?・・」

となったときです。言葉には出さなかったのですが互いに目と目でそんな会話をしたのです。

堀部君が手の力を緩めて道着をはなそうとした瞬間、僕は卑怯にも、

「今だ!・・」

と言う悪魔のささやきに負けてしまい、「抱え投げ(浮き腰)」を掛けてしまったのです。

試合が終わって、謝ろうと思って堀部君のところに行くとお父さんに叱られているのです。

『だって、金澤君が分かれよ?・・って言ったモン!』

『審判が「分かれ」と言ってないのに力を抜く奴があるか、お前が悪いのや!』

それを聞いてしまって、謝ることが出来ませんでした。

高校生になって、彼が自殺したことを聞きました。

 大阪の柔道の強い有名校に進学して、ガンバッテいると思ったのに胸に大きな穴が空いたままなのです。

 堀部君ゴメンね!

|

« 騙されてはいけない134―今起こっている福島原発事故・「濃縮水貯槽において漏えい」の変? | トップページ | 騙されてはいけない135―今起こっている福島原発事故・「トレンチ等の調査状況」での「高レベル汚染水」 »

人との邂逅」カテゴリの記事

子供のころ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 私の世界・人との出会い―堀部君は強くて格好良かった③:

« 騙されてはいけない134―今起こっている福島原発事故・「濃縮水貯槽において漏えい」の変? | トップページ | 騙されてはいけない135―今起こっている福島原発事故・「トレンチ等の調査状況」での「高レベル汚染水」 »