騙されてはいけない198―今起こっている福島原発事故・移送ラインの漏えい拡大防止対策について(続き)
東電の4月10日に公表した記者会見配布資料からです。
「移送ラインの漏えい拡大防止対策」後の滞留水の処理再開の報告をしています。
「ホースについてはポリエチレン管に交換」とあるのですが、交換の前はゴム・ホースだったのでしょうか?
ポリエチレンは「耐薬性に非常に優れ、濡れ性は低くく、絶縁性が高く、静電気を帯びやすい」(下の注)のです。気になるのはポリエチレン・ホースの耐放射線能です。私は専門家ではないので分からないのですが、ポリエチレン・ホースのメーカも「今回のような高放射線量に長時間さらされることは想定していない」ので、テストはしていないように思うからです。
研究では「低線量で長時間の照射では、通常、ポリエチレンは放射線酸化が進行して劣化する。」ことが報告されています。
東電の写真を見直すとホースにさらに何かのカバーをしているのです。多少の漏れはそれで凌ぐつもりなのか?本当に漏れてはいけないものならすぐ発見できるようにカバーはしないものです。
<東電の報告>
4/9 21:52 本水漏れ事象について、一連の対策*が終了したことから、滞留水の処理を再開するため、淡水化装置(逆浸透膜式)を起動。また、第二セシウム吸着装置については、4/10 9:48 に起動し、同日9:50、定常流量(40.0m3/h)に到達。今後、淡水化装置(逆浸透膜式)については、水 バランスを考慮し断続運転を実施。
*以下の対策を実施
・漏えい箇所への吸収材の設置、U字溝と一般排水路の接続部への土のう設
置
・排水路内に溜まった漏えい水の回収および排水路洗浄と洗浄水の回収
・漏えい拡大防止策として、サプレッションプール水サージタンク(SPT)(B)から淡水化装置(逆浸透膜式)へ移送するラインに対する土のうの設置(SPT建屋脇、斜面、排水路、マンホール付近)
・濃縮水供給ポンプ出口からRO濃縮水貯槽間のホースについてはポリエチレン管に交換(現在、淡水化処理時に使用しているライン)
注)ポリエチレン (polyethylene)
エチレンが重合した構造を持つ高分子である。最も単純な構造をもつ高分子であり、容器や包装用フィルムをはじめ、様々な用途に利用されている。
一般に酸やアルカリに安定。低分子量のものは炭化水素系溶剤に膨潤するが、高分子量のものは耐薬性に非常に優れる。濡れ性は低い。絶縁性が高く、静電気を帯びやすい。(=ウィキペディア)
シングルサイト触媒重合ポリエチレンの放射線酸化劣化
概要:メタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒で重合した新規ポリエチレンの低線量での耐放射線性(耐放射線酸化劣化特性)、及びポリエチレンの結晶化度(密度)と耐放射線性の関係。
詳細説明:原子力発電所や核燃料サイクル施設などの原子力施設や大型の加速器施設では多くの電線ケーブルや高分子絶縁材料が使用されている。実際の原子力施設などでの電線ケーブルの使用環境は、例えば、室温~60℃の温度で放射線線量率は1Gy/h以下で数十年の長時間であり、このような環境下において機械的及び電気的特性を長期間維持することが要求されている。ケーブルの絶縁材として、ポリエチレンやエチレン-プロピレンゴムが用いられるが、特にポリエチレンはその電気絶縁特性が優れていることから使用されることが多い。しかし、上述のような低線量で長時間の照射では、通常、ポリエチレンは放射線酸化が進行して劣化する。空気中で数mm厚さのポリエチレンを10Gy/h以下の線量率で照射するとき、すなわち、ポリエチレン中に酸素が十分に拡散するような低線量率での耐放射線性を知る必要がある。また、ポリエチレンでは結晶化度がその耐放射線性に影響を与えるとされてきた。ポリエチレンの結晶化度(密度)と耐放射線性の定量的な関係も重要である。
(=放射線利用技術データベース)
ポリエチレン・ホースの状況
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