私の世界・面白い話のネタ―「アブラムシを馬鹿にしてはいけない話、3つ」
ネットのサイエンスポータルの記事からです。
アリマキとも呼ばれるアブラムシが「アリと共生し、分泌物を与えるかわりに天敵から守ってもらう習性のあるものがいる」というのは良く知られていますが、集団で住み「社会性」を持っていて、生活の仕方が以外に人に似ているのです。
その一 「自分の排泄物を植物に吸収させるアブラムシ」は、住まいの「虫こぶ」の中で「自分たちの排泄物を植物に吸収させて快適な環境を保っている」というもので、「昔の人のし尿を堆肥に代えて循環させる」のに似たトイレ・システムを持っているものがいるのです。
その2 「共生細菌を利用していること」、人に限らないのですが腸内細菌の活動は、人の栄養の消化吸収や免疫の構成にとって必須の条件です。
その3 「おばあちゃん効果」、自己犠牲による集団社会への寄与は、もしかすると人の方がアブラムシに学ばなければならないことかも知れません。人もおばあちゃんが長生きしているのは意味があるのです。
話しは別に:家内は何かと節約に励み、何でも残しておくのです。困るのはそれを私にも強要することです。子供たちや将来の孫のことを思ってのことなのでしょうか? いらないものもあると思うのですが。
アブラムシ
カメムシ目(半翅目)のアブラムシ上科(Aphidoidea)に属する昆虫の総称である。アリマキ(蟻牧)とも呼ぶ。植物の上でほとんど移動せず、集団で維管束に口針を突き刺して師管液を吸って生活する、小型で弱々しい昆虫と言われるが、主に4月から6月に東南アジア方面から気流に乗って飛来し野菜・果樹新芽の茎上や葉の表面・裏面に現れ始め、9月から11月には野菜・果樹から移動し、その後、越冬せずに死滅する。アリと共生し、分泌物を与えるかわりに天敵から守ってもらう習性や、単為生殖によっても増え真社会性を持つことなどから、生態や進化の研究のモデル昆虫ともなっている。(=ウィキペディア)
『自分の排泄物を植物に吸収させるアブラムシ(2012年11月15日)
植物の葉枝に「虫こぶ」という密閉空間を作り集団生活しているある種のアブラムシは、自分たちの排泄物を植物に吸収させて快適な環境を保っていることを、産業技術総合研究所生物共生進化機構研究グループの沓掛磨也子研究員と深津武馬研究グループ長らの研究で分かった。昆虫が植物の形態や生理状態を自分の生存に有利になるように操作しているもので、外部要因による植物の性質の制御という観点からも注目されるという。
植物の汁だけを吸って生きるアブラムシは、大量の液体排泄物「甘露(かんろ)」を体外に排出する。この糖分を多く含む甘露をアリが摂取し、アブラムシを外敵から守るという「共生」関係も一般に知られる。アブラムシの仲間には植物に寄生して中空の虫こぶを作り、その中で集団生活をするものがある。その多くは開口部のある開放型の虫こぶで、アブラムシの兵隊幼虫が甘露を開口部から外に捨てて処理している。ところが開口部のない完全閉鎖型の虫こぶでは、甘露がどのように処理されているのか分からなかった。
研究チームは、マンサク科の常緑高木「イスノキ」の葉や枝に完全閉鎖型の虫こぶを作る「モンゼンイスアブラムシ」を研究対象とした。虫こぶの中では、数百匹から時には2,000匹以上のモンゼンイスアブラムシが集団生活する。虫こぶが大きくなって木質化し、壁に穴が開いて、翅(はね)をもつ成虫が飛び立つまで、少なくとも2年以上にわたり外部の環境から隔離される。
モンゼンイスアブラムシの虫こぶの中を調べたところ、死骸や脱皮殻、分泌ワックスなどの固形老廃物はあったが、甘露の蓄積はなかった。甘露が虫こぶの内壁の組織に吸収されるか確かめるため、虫こぶに小さな穴を開けて蒸留水やショ糖水(濃度2%・4%・8%)をそれぞれ1ミリリットル注入し、穴をふさいで20時間後に観察すると、蒸留水は完全になくなっていた。ショ糖水も吸収されたが、濃度が高くなるにしたがい吸収率は下がった。モンゼンイスアブラムシの甘露の糖濃度は0.5%以下であり、虫こぶに十分吸収されるレベルだった。また、染色の水溶液でも試したところ、虫こぶの内壁に吸収経路が観察された。
同様な吸水実験を、「ハクウンボクハナフシアブラムシ」が作る開放型の虫こぶでも行ったが、水はまったく吸収されなかった。その開放型の虫こぶの内壁は厚いワックス層に覆われて、水をはじく性質(撥水性)を示した。一方、完全閉鎖型のモンゼンイスアブラムシの虫こぶ内壁表層はスポンジ状の組織構造をしていて、水になじむ性質(親水性)を示した。虫こぶ内壁の構造の違いが、吸水性の有無に関係しているようだという。』
『共生細菌とアブラムシの親密関係さらに(2010年10月4日)
アブラムシが新たな共生細菌に感染することで、それまで餌にならなかった植物上でも生存、繁殖できる能力を獲得することを理化学研究所と産業技術総合研究所の研究チームが突き止めた。
特殊機能をもつ共生微生物がほかの昆虫種に感染すると、新たな能力を持った昆虫が生まれることを示した世界初の研究成果として、新たな害虫防除法の開発につながる可能性が期待されている。
理化学研究所の土田努基礎科学特別研究員、松本 正吾主任研究員と、産業技術総合研究所生物共生進化機構研究グループの武馬研究グループ長、古賀 隆一主任研究員が研究対象にしたのは、ソラマメヒゲナガアブラムシで、シロツメクサという植物では生存できない。シロツメクサ上で生存・繁殖できるエンドウヒゲナガアブラムシの共生細菌であるRegiellaをソラマメヒゲナガアブラムシに注入したところ、3系統のうち2系統でシロツメクサ上での生存期間が延び、成虫になって産む子の数も増加することが確認できた。
共生細菌の移植は体液を微量に注入する方法で行われ、3系統すべてで親から子への感染が見られ、移植後70世代経った後でも共生細菌の感染率は100%だった。
アブラムシは、旺盛な繁殖力を持ち、直接、農作物の被害を与えるほか、ウイルス媒介による病害ももたらす厄介な害虫として、世界中で効果的な防除法が求められている。』
『アブラムシにも「おばあちゃん効果」(2010年6月23日)
閉経後もメスが長生きするのはヒトなど一部の哺乳(ほにゅう)類だけではなく、アブラムシの仲間にも見られることを、東京大学大学院総合文化研究科の植松圭吾氏(博士課程大学院生)、柴尾晴信助教、嶋田正和教授が発見した。
このアブラムシは、常緑樹のイスノキに虫こぶをつくりその中で集団生活をするヨシノミヤアブラムシ。単為生殖によって増殖するため、同じ虫こぶ内の虫たちはすべて同じ遺伝子を持っている。この集団の中に羽を持たない成虫がいて、腹部を刺激すると粘着質の液体を分泌する。さらにこの成虫が分泌液によって捕食者に張り付いているのが見つかったことから、植松氏らは成虫が虫こぶの中に侵入する捕食者に対して自己犠牲的な防衛行動を行うのではないかと考えた。
ヨシノミヤアブラムシの天敵であるテントウムシ幼虫を虫こぶ内に入れる実験を行ったところ、成虫が張り付くことで捕食者の侵入を防ぐことが分かった。いったん敵に付着した成虫は離れることができず、捨て身で虫こぶ内の仲間を守っていることになる。
ヒト、クジラなどの知能の高い哺乳類で閉経後のメスが長生きするのは、蓄積した子育て経験で血縁者の繁殖を助けるためと考えられ、進化学では「おばあちゃん効果」として知られている。
ヨシノミヤアブラムシも加齢によって体内に蓄積された粘着物質が血縁個体を守っていることになり、繁殖終了後の利他行動の進化が知能の高い哺乳類に限らないことを示すものだ、と植松氏らは言っている。』
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