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2012年12月29日 (土)

今起こっている福島原発事故・チェルノブイリ密閉作業、なお残る影響

ネットのナショナルジオグラフィック・ニュースからです。

ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所事故は1986426日の4号機の爆発からで、25年以上が経ちます。

チェルノブイリの4000人以上の作業員を犠牲に作られたコンクリート製の「石棺」は、当初から永久的な解決策となる見込みはありませんでした。

「欠陥のある梁(はり)が支える天井の所々に亀裂が生じ、専門家の間では、崩壊して再び放射性物質が漏えいする恐れがある」というものなのです。

そのために補強工事が必要とされ、永久的な防護策の実施のため、シェルター改善計画(SIP)が作られたのです。

チェルノブイリが史上最悪規模と言われますが、福島の事故はまだ終息していません。放射能の放出量を始めとする事故規模や被害の影響評価は、本当のところまだこれからなのです。

『チェルノブイリ密閉作業、なお残る影響

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史上最悪規模の原子力事故を起こした、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で、アーチ型巨大シェルターの建設が本格化している。骨組みの一部が完成した「新安全閉じ込め設備(New Safe Confinement)」は、損壊した原子炉4号機全体を覆い、放射性物質を閉じ込めるよう設計されている。現地では、事故後26年以上にわたって除染作業が続けられてきたが、NSCは最新の防護策となる。

 1986426日、4号機が爆発、大量の放射性物質がウクライナ、ベラルーシ、ロシア西部の上空に放出された。近隣区域では避難活動が進められ、ヨウ素や放射性核種の拡散はヨーロッパの大部分に及んだという。世界保健機関(WHO)の推計では、約30人の運転員・消防士が事故後まもなく死亡。その後、被曝による死者数は4000人に上ったとみられている。さらに放射線が原因とみられる癌(がん)患者の死亡者数は、その6倍以上との調査結果も出ている。

 復旧と清掃作業の後、4号機は大量の作業員が投入され、ウランやプルトニウムなどの放射性物質を封じ込める、コンクリート製の「石棺」で覆われた。だがこのシェルターは半年で急造され、当初から永久的な解決策となる見込みはなかった。欠陥のある梁(はり)が支える天井の所々に亀裂が生じ、専門家の間では、崩壊して再び放射性物質が漏えいする恐れがあるとみられていた。

◆恒久的な対策

 そして1997年、より永久的な防護策の実施のため、シェルター改善計画(SIP)が実施される運びとなった。20以上の国家と欧州連合(EU)が20億ドル(約1700億円)を投じたプロジェクトで、その規模は「工学史上、類を見ない」と、統括する欧州復興開発銀行(EBRD)は述べている。

 まず石棺の補強を優先し、201211月には新型シェルターのアーチ型屋根の一部が完成。竣工予定は2015年で、4号機を覆う石棺の上に可動式のアーチが架けられる。耐用年数は100年、総重量29000トンに上り、自由の女神像が収まるサイズになるという。

 プロジェクトの資金調達は1997年に開始、欧州復興開発銀行(EBRD)によれば、国際的な拠出金は十分な額に達しているという。EBRDの原子力安全局長ビンス・ノバク(Vince Novak)氏は、「建設には莫大な費用がかかる。遅れは許されない」と述べるが、完成までの道のりはまだまだ長い。同氏は、11月に無事完了した計画案の検証が第1関門だったとしている。現場作業を想定したシュミレーションをイタリアで行うなど、想定されるすべての工程に注意が払われた。「おかげで順調に進行している」。

 ノバク氏によると、建設スピードを上げ、作業員の安全を確保するため、原子炉から距離を置いて工事を行っているという。「現場の放射能レベルは、特別な防護服を着用しなくても時間制限なく作業できるほど低い」。

◆無人化した周辺

 チェルノブイリの近接区域では事故後、計33万人以上が住み慣れた土地を追われることとなったという。

「車で走ると、25年以上にわたって朽ち果てていった村をいくつも通り過ぎる」と、テキサス工科大学で行動生態学の教授を務めるロン・チェッサー(Ron Chesser)氏は話した。同氏は1992年にアメリカ人として初めて立ち入り禁止区域に足を踏み入れることを許可され、事故による野生生物への影響調査を行った。「かつては人が住んでいたという事実に呆然となる」。

◆人体に残る影響

 チェルノブイリ事故の影響は現在も続いている。甲状腺癌の発症率上昇はその一つだ。汚染された牛乳を飲んだ子どもへのダメージは特に大きい。国連によると、2005年までに、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの高汚染地域で6000人以上の子どもが放射線による甲状腺癌を発症。患者は生涯にわたって治療が必要になり、今後さらに増加すると予想されている。

消えた住民

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ウクライナ北部の都市、プリピャチ。高所からチェルノブイリ原子力発電所を望む距離にあり、現在はゴーストタウン化している

 発電所の建設・運転要員の居住地として設立された町で、かつては約5万人が生活していたが、全員が避難し、事故後には誰も戻っていない。チェルノブイリの近接区域では、計33万人以上が住み慣れた土地を追われることとなったという。

「車で走ると、25年以上にわたって朽ち果てていった村をいくつも通り過ぎる」と、テキサス工科大学で行動生態学の教授を務めるロン・チェッサー(Ron Chesser)氏は話した。同氏は1992年にアメリカ人として初めて立ち入り禁止区域に足を踏み入れることを許可され、事故による野生生物への影響調査を行った。「かつては人が住んでいたという事実に呆然となる」。

甲状腺癌

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ベラルーシの首都ミンスクの甲状腺癌(がん)センターで治療を受ける、男性と少年(2005年撮影)。

 チェルノブイリ事故の影響は現在も続いている。甲状腺癌の発症率上昇はその一つだ。汚染された牛乳を飲んだ子どもへのダメージは特に大きい。国連によると、2005年までに、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの高汚染地域で6000人以上の子どもが放射線による甲状腺癌を発症。患者は生涯にわたって治療が必要になり、今後さらに増加すると予想されている。

崩落の懸念

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未舗装の路面や足場が組まれた建物は、どこにでもある建設現場の風景に見える。しかし、チェルノブイリ原発の密閉作業ははるかに困難だ。

 老朽化した壁を支えているのが、足場のような構造だ。原子炉を覆う石棺は崩落の危険性が高まっており、新たなシェルター建設前の補強が不可欠だった。その新安全閉じ込め設備(NSC)による密閉を完了するには、他にも多数の課題を解決しなくてはならない。欧州復興開発銀行のビンス・ノバク(Vince Novak)氏は、高くそびえる換気煙突の撤去が特に困難だと指摘する。まず支持部が損傷している煙突を固定し、その後で解体や放射線検査を進める必要があるという。

設計テスト

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チェルノブイリ原発事故で爆発した原子炉を覆う新シェルターの建設現場。アーチ型屋根の組み立て作業が進められている。

 プロジェクトの資金調達は1997年に開始、欧州復興開発銀行(EBRD)によれば、国際的な拠出金は十分な額に達しているという。EBRDの原子力安全局長ビンス・ノバク(Vince Novak)氏は、「建設には莫大な費用がかかる。遅れは許されない」と述べるが、完成までの道のりはまだまだ長い。同氏は、11月に無事完了した計画案の検証が第1関門だったとしている。現場作業を想定したシュミレーションをイタリアで行うなど、想定されるすべての工程に注意が払われた。「おかげで順調に進行している」。

鉄製アーチ

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クレーンに乗った作業員が、鉄製アーチ型の巨大構造物の下に回り込む。1986年に史上最悪の原発事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発では、爆発した原子炉4号機(遠景)を覆う新たなシェルターが建設されている。

 完成すれば、約300メートル先の4号機までレールに乗せて移動させ、上から覆って密閉する。最終的な大きさは高さ約105メートル、幅約257メートルにもなる。

 プロジェクトを率いる欧州復興開発銀行(EBRD)の原子力安全局長ビンス・ノバク(Vince Novak)氏によると、建設スピードを上げ、作業員の安全を確保するため、原子炉から距離を置いて工事を行っているという。「現場の放射能レベルは、特別な防護服を着用しなくても時間制限なく作業できるほど低い」。

 チェルノブイリの原発事故直後、ソ連は何十万人もの作業員を事故現場に派遣。平均年齢約35歳の「リクビダートル(清算人)」は、処理作業中に大量の放射線を浴びた。

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