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2013年12月11日 (水)

私の世界・私のユタセクスアリス―Ⅰ幼年編・吹田の叔母さん伊丹の叔母さん

親父には吹田の叔母さんというガールフレンドがいました。もちろん子供ですから、本当はどんな関係か聞くこともないのですが、良くその叔母さんの家に連れて行くのです。「吹田の叔母さんとこ行こ」と言って阪急電車で吹田まで行って、駅からしばらく歩くと涸れた大きな池の向こう側にお家がありました。吹田の叔母さんは家にも良く訪ねて来るので、最初は親類の人だと思っていました。

台風が来るというと吹田に行って、窓枠に釘を打ったり、板を張ったりします。お家の方を、「何もしないで、大丈夫なんやろか?・・」と気をもむのです。

父にはもう一人親しい叔母さんがいて、伊丹の叔母さんと呼んでいました。伊丹の叔母さんの家は飛行場の近くで、飛行機がとてつもなく大きな機体を揺るがして頭の上を轟音とともに落ちそうになって飛んでいきます。子供なのでどちらかといえば飛行機の伊丹の方が好きでした。

ところが、伊丹の叔母さんは父が訪ねて行くと、「修ちゃん、修ちゃん」と甘えたような声を出して、僕の前でも色々な相談話を平気でするのです。僕は、叔母さんの赤ちゃんにミルクをやりながら、そっと話に聞き耳をたてるのです。伊丹の叔母さんの方が、父とどうも怪しい? と思っていたのです。

変なのは、父と相談している叔母さんの側に、いつも大人しそうなおじさんが座っているのです。赤ちゃんは女の子で、叔母さんには子供が出来ないので貰い子だそうです。

後でおばあちゃんに聞いた話では、父と伊丹の叔母さんは従兄妹でおばあちゃんと叔母さんのお母さん―天六の叔母さん―が姉妹なのです。おばあちゃんが働きに出たときは天六の叔母さんが預かったこともあって、父と叔母さんは一つ屋根の下で兄妹のように暮らしたこともあるのだそうです。

伊丹の叔母さんは目が余り良くなくて、おとなしいおじさんが「実は酒乱で時々暴力を振るって、叔母さんを困らせた」という話は後で聞きました。

話は別に、僕の好みから言うと伊丹の叔母さんの方が可憐なところがあって好きです。吹田の叔母さんは冨子という名前なので、通称は「お富さん」です。春日八郎の「お富さん」が流行っていました。

吹田の叔母さんは家に来るとき、よく僕に豪華なお土産の玩具を持って来るのです。リモコンの戦車やトラックで、近所の子供には絶対手に入らない代物です。余りにそういうことが続くので、悪いと思ってあるとき「大きくなったら絶対叔母ちゃんに恩返しするからね・・」と言ってしまったのです。

言った瞬間に「まずい」と気が付きました。それを聞いた母の心境を思って顔を見ることが出来ませんでした。お母さんごめんなさい。

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