私の世界・知らない世界―「イラクで迫る危機、ヤジディ教徒とは・・!?」
ネットのナショナルジオグラフィック・ニュースからです。
米軍のイラク空爆で知られることになり、「イラクに居住する約50万人のヤジディ教徒は、自分たちの部族と宗教が今度こそ終わりを迎えるのではないかと恐れている」という話です。
ウィキペディアで調べても、ヤジディまたはヤズィーディー(Yazidi)は、
「中東のイラク北部などに住むクルド人の間で信じられている民族宗教。Mishefa ReşやKitêba Cilweといった独自の聖典を持つ。イスラーム化する以前の諸宗教の系譜を引く、クルド人の宗教と言われる。イスラム教、キリスト教、ゾロアスター教の影響を受けており、天使マラク・ターウースを信じる。多数派のムスリム(イスラム教徒)から邪教扱いされている。
他宗教との対立[編集]教徒の居住区はイラク北部に広がり、周辺の宗教勢力、武装勢力との対抗上、比較的アメリカ寄り立場を取るため、しばしばイスラム系武装勢力の攻撃対象となる。
2007年8月14日:ニーナワー県のヤジディー教徒が多く住む二つの村で同時自爆攻撃が発生。死者は400人以上。当時、イラク駐留していたアメリカ軍は、アルカイーダによる自爆テロとの見解を表明。後日、同年9月3日に行った空爆で、自爆テロを計画、指揮した首謀者を殺害したと発表した。
2014年8月8日:イラク政府及びクルド人自治区に激しい攻撃を加えていたイラクとシャームのイスラーム国に対し、アメリカ軍が限定的な空爆を実施。併せてイスラーム国の攻撃により、イラク北部のシンジャルの山地へ避難していたヤジディー教徒に対しても支援物資の空輸が行われた。」
だけしか記述がありません。
以下は、ジオとは少し違う私的な考えで、気になる人は飛ばして下さい。
ヤジディはクルド人の問題ですが、基本的には「クルド人の居住地は中世から近世にかけて広大な版図を保ったオスマン帝国の領内にあった。第一次世界大戦でオスマン帝国が敗れ、サイクス・ピコ協定に基づきフランスとイギリスによって引かれた恣意的な国境線により、トルコ・イラク・イラン・シリア・アルメニアなどに分断された」ことにあるのです。
“GlobalSecurity.org”よりクルドの住処
人が住んでいるのと無関係に、自分たちの思惑・利害関係だけで国境線を決めてしまったのです。
それと、気になるのはイスラエルがクルドに同情的? というか、湾岸戦争後のドサクサにクルド地区に入植しているという“話し”がありました。もっとも、“国なき民”はもともとのユダヤの姿です。
もしくは、敵(イスラム)の敵(ヤジディ)は“味方”ということでしょうが、何かキナ臭いのです。
それでか、今回アメリカは妙に人道的? になって空爆です。大体、自分たちと無関係なクルドの50万人など、へとも思っていない玉なのにです。フセインが毒ガス(実験?)まで使って、ジェノサイド(皆殺し作戦)を展開しているとき何もせず、アメリカは後から“テロとの戦い”の湾岸戦争の理由の1つにしただけです。
クルド人(Kurds)
中東のクルディスタンに住む山岳民族。トルコ・イラク北部・イラン北西部・シリア北東部等、中東の各国に広くまたがる形で分布する、独自の国家を持たない世界最大の民族集団である。人口は2,500万~3,000万人といわれている。中東ではアラブ人・トルコ人・ペルシャ人(イラン人)の次に多い。宗教はその大半がイスラム教に属する。一方、宗派については、イスラム教のスンニ派 (トルコのクルド人のあいだでは、スンナ派シャーフィー法学派が多数)、アレヴィー派の順に多く、ヤズィーディー(Yazidi)やアフレ・ハックなども存在する。言語的には、インド・ヨーロッパ語族イラン語派のクルド語に属する。主な生業は牧畜で、この地のほかの民族と同じく遊牧民として生活する者が多かったが、近年トルコ等を中心に都市へ流入し、都市生活を送る割合も相当数存在する。アイユーブ朝の始祖、サラーフッディーン(サラディン)はクルド人の出自と見られている。
クルド人の居住地は中世から近世にかけて広大な版図を保ったオスマン帝国の領内にあった。
第一次世界大戦でオスマン帝国が敗れ、サイクス・ピコ協定に基づきフランスとイギリスによって引かれた恣意的な国境線により、トルコ・イラク・イラン・シリア・アルメニアなどに分断された。1922年から1924年まではクルディスタン王国が存在した。1946年、クルディスタン共和国(Republic of Kurdistan、1月22日~12月15日)が、ソヴィエト連邦の後押しによって樹立された。
20世紀後半になると文化的な圧力の元で政治勢力が誕生し、大きな人口を抱えるトルコやイラクでは分離独立を求め、長年居地元政府との間で武力闘争を展開するといった様々な軋轢を抱えている。近年では、各国の枠組みの中でより広範な自治権獲得を目指したり、当事者間による共存のための対話を模索する動きもある。一方でこれらの地域を離れ、欧米などへの移民となるケースも増加している。・・・(=ウィキペディア)
『イラクで迫る危機、ヤジディ教徒とは
(August 11, 2014)
その信仰を理由に、ヤジディ教徒は何世紀にもわたり嫌悪の対象となってきた。大半のイスラム教徒からは悪魔を崇拝する異端者とみなされ、これまで何度もジェノサイド(大量虐殺)の危機に直面してきた。現在イラクを侵略しつつある武装集団もヤジディ教徒を迫害するイスラム教徒の例に漏れない。「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)あるいは「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)と呼ばれるスンニ派アラブ人の武装組織がシンジャルを制圧し、さらに北上を企てる中で、イラクに居住する約50万人のヤジディ教徒は、自分たちの部族と宗教が今度こそ終わりを迎えるのではないかと恐れている。
ゲッティンゲン大学でヤジディ教徒を研究するカナ・オマルカリ(Khanna Omarkhali)氏は、「シンジャルはその歴史や規模、密度において最も飛び抜けたヤジディ教徒のコミュニティーである(これが過去形にならないことを望む)」と説明する。「このコミュニティーの皆殺しや、離散、さらには(他の地域への)移住は、ヤジディ教を悲劇的な形で変容させてしまうはずだ」。
ヤジディ教徒はイラク北西部の山岳地帯に何世紀にもわたり居住してきた。また、この地域はヤジディ教徒にとって聖地や神殿、先祖が住む村などが存在する場所でもある。シンジャル以外では、モスル北部の地区や、クルド人が支配するドホーク県に固まって住んでいる。ヤジディ教徒にとって、この地は宗教的に大きな意味を持っている。ヤジディ教はトルコやドイツなどに小さな信徒のコミュニティーが残っており、世界中から信奉者が巡礼のためイラクにある聖都ラリッシュを訪れる。だが今では、ISISの前線がこの聖なる町から65キロ足らずのところに迫っている。
ISISがヤジディ教徒の居住地区の制圧を続ける中で、信徒たちは改宗か処刑、さもなくば逃亡という選択を迫られている。イラク連邦議会の議員でヤジディ教徒のビアン・ダヒル(Vian Dakhil)氏は「我々の宗教そのものが地上から抹殺されつつある」と、強い言葉で警告している。
現在、武装集団の侵攻がヤジディ教徒にとって深刻な脅威となっている一方で、この小さな宗教コミュニティーには、その草創期から絶え間なく迫害を受けてきた苦難の歴史がある。
◆絶え間ない誤解にさらされてきたヤジディ教
ヤジディ教は、多様な宗派がモザイク状に入り交じるイラクでも、その図式にうまく収まらないため、誤解されることが多い宗教だ。ヤジディ教徒の大半はクルド語を話し、民族的には自らをクルド人と考える者が多いが、ヤジディ教徒は宗教の面で、スンニ派が多数を占める一般のクルド人とは異なっている。
ヤジディ教は長く続く信仰で、イスラム教の教えにゾロアスター教や古代ペルシャの宗教、さらには地中海東部に起源を持つ謎の多い宗教のミトラ教が入り交じり、口伝えによる豊かな伝統を持つ。このようにさまざまな信仰体系が混合された宗教はシンクレティズム(混交主義)と呼ばれるが、この点もイスラム教徒から異端の烙印を押される理由の1つとなっている。その正確な起源については依然として議論があるものの、一部の研究者の説によれば、ヤジディ教は12世紀に形成されたという。この時期にはスーフィー(イスラム教神秘主義)の指導者、アディ・イブン・ムサフィル(Adi ibn Musafir)がクルディスタン地域に居を構え、イスラム教徒と地元に残るゾロアスター教の信仰の要素を合わせたコミュニティーを創設している。
ヤジディ教徒がイスラム教徒から悪魔崇拝との非難を受けるようになったのは、16世紀末から17世紀初頭にかけてのことだ。ヤジディ教は一神教だが、その信仰の中心にあるのはターウース・マラクという天使で、神に背き、人と神の仲介者の役割を果たしている。イスラム教徒にとって、ヤジディ教徒によるターウース・マラクの描写は、コーランに記されたシャイターン(悪魔)に重なる部分が多いように聞こえる。とはいえ、ヤジディ教ではこの天使は良き力を持つ者とされている。
地理的に切り離された場所に住み、宗教的な迫害を頻繁に受けていたことから、ヤジディ教徒は閉鎖的な文化を築き上げてきた。イラクに住むヤジディ教徒は他のクルド系住民との間で婚姻関係を結ぶことはめったになく、他の宗教からの改宗者も受け入れていない。「非常に閉ざされたコミュニティーになっている」と、ゲッティンゲン大学のオマルカリ氏は指摘する。
◆フセイン政権の迫害の犠牲者に
しかしながら、クルド語を話すことから、ヤジディ教徒はイラクの他のクルド系住民と政治的に同じ運命をたどる場合が多い。1970年代後半には、イラクを支配した独裁者のサダム・フセイン元大統領が、北部に住むクルド系住民に対し、過酷なアラブ化政策を敢行した。元大統領は伝統的なヤジディ教徒の村を徹底的に破壊し、地方で農耕を営む生活をやめさせて都市の中心部に強制移住させた。シンジャルを建設したフセイン元大統領は、ヤジディ教徒に対し、もともと住んでいた山あいの村々を放棄させ、強制的にこの町に移り住ませた。
2003年、アメリカがフセイン政権を転覆すると、イラクのクルド系住民は北部にクルディスタン地域政府(KRG)という名の自治領を与えられた。しかし、シンジャルは、KRGの境界線近くにある多くの地区と同様に、クルド側とバグダッド政府の間で係争地となっている。KRGはシンジャルがクルド側に属すると主張しているのに対し、バグダッド政府は今でもこの地域が自らの支配下にあると考えている。
だが、今となっては、ヤジディ教徒とISISの間に立ちはだかるのは、KRGの民兵組織ペシュメルガ(Peshmerga)のみだ。
米軍の空爆という支援を得て、ペシュメルガは数日以内にシンジャルを奪還すると明言している。ヤジディ教徒にとっては、自らの存続がかかる戦いとなるはずだ。』
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