私の世界・知らない世界―「“パックマン”型の宇宙船で“スペースデブリ”の回収・・!?」
ネットのワイヤード(WIRED)の記事から「“パックマン”型の宇宙船で、地球の軌道上にある小型人工衛星を丸飲みする計画が、スイスで進んでいる」という話です。
“パックマン”型の宇宙船(Wiredより)
“スペースデブリ”の回収
ウィキによると、宇宙ゴミは“スペースデブリ”ともいうそうで、基本的に直径10cm以上のデブリは軌道が判っていて、「カタログ登録されている」というのには驚きます。
つまり、衝突やニアミスの恐れがある場合は衛星あるいは宇宙機の方が軌道を修正して回避することが可能で、それで宇宙飛行士は何ヶ月も平気で宇宙ステーションに居られるのです。
国際宇宙ステーション
また、「1cm以下のデブリなら有人宇宙機にバンパー程度のものを設けることで衝突した時のダメージを軽減できるが、その中間の大きさのデブリへの有効な対処は難しい・・」のだそうです。
高度2,000km以下の軌道を周回するスペースデブリの分布(以下、ウィキより)
大気圏突入した大きなスペースデブリの一部が燃え尽きずに地上へ落下したもの。デルタ2の燃料タンク
素人考えで恥ずかしいのですが、この記事を見て色々調べるまで、何となくですが、宇宙のゴミ(デブリ)は衛星と同じ方向(逆回りはほとんどない?)に飛んでおり、速度が同じで(高度が同じなら、速度も同じ?)、「衝突しても、大した損傷にはならないのでは・・?」と思っていました。
つまり、“軌道傾斜角”というものがあることを知らなかったのです。
<軌道要素の意味>
地球を周回する物体の軌道は一般に楕円形である。軌道のサイズと形状[編集]楕円の大きさと形は長径と短径で与えられる。しかし、後で述べる理由で、半長径または平均運動と離心率で与えることが一般的である。離心率の定義については楕円軌道も参照のこと。
<軌道の配置>
軌道が地球および宇宙に対してどのように配置されるかを表すには、軌道傾斜角、昇交点赤経Ω、軌道面内での楕円の主軸方向(近地点引数ω)を用いる。Ωは赤道面内、ωは軌道面内で測った角度を表す。
極端な例では、赤道面に飛ぶ衛星と両極を通るデブリは軌道面が直交(ⅰが90度)するので、十字路の交通事故と同じようになり、衝突の衝撃は交通事故どころではありません。(もちろん、平面の十字路より赤道面と両極面の立体的交差ですから、確立は小さいくなる)
『宇宙ゴミを丸飲みする「パックマン」宇宙船、2018年打ち上げ(動画あり)
(2015.7.8 WED)
スイスの研究機関が、任務の終わった人工衛星を丸呑みしてそのまま大気圏に突入することで衛星を処分する宇宙船のプロジェクトを発表した。
「パックマン」型の宇宙船で、地球の軌道上にある小型人工衛星を丸飲みする計画が、スイスで進んでいる。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の宇宙工学センター(eSpace)と信号処理研究所(LTS5)、および西スイス応用科学大学(HES-SO)は7月6日(現地時間)、円すい状のネットを備えた新しい宇宙船を使って、EPFLの小型人工衛星「スイスキューブ」を捕まえる計画の詳細を共同で発表した。
「CleanSpace One」と名付けられたこのミッションは、2009年に行われたスイスキューブの打ち上げ後すぐに考案されたものだ。このミッションは、宇宙船や人工衛星にとって常に危険の元となる衛星軌道上の宇宙ゴミを削減するための、応用性の高いシステムのテストと位置づけられている。
米航空宇宙局(NASA)は、10cm四方より大きい宇宙ゴミを監視しているが、ゴミとの衝突を避けるのではなく、ゴミを実際に見つけ出して取り除くことは、以前から難しい課題とされている。
研究チームによれば、このミッションで最も難しい問題のひとつは、何よりもまず、10cm四方しかない小さな4つの衛星を見つけ出すことだ。チームでは、自転するキューブから放たれる反射光パターンを見つける任務を担うカメラを製作した。
カメラがキューブを見つけると、宇宙船はキューブに近づきながらネットを広げ、ネットを閉じてキューブを捕まえる。その後、宇宙船は大気圏に再突入して、キューブともども燃え尽きるというわけだ。
「このシステムは、かぎ爪や関節ハンドと比べて信頼性が高い上、余裕をもって操作できる」と、HES-SOで産業技術を研究するミシェル・ローリア教授は説明する。
それでも、簡単な任務ではない。キューブから放たれる反射光は、機体表面のどの場所から反射したかによって光り方が異なるため、見分けるのが難しく、宇宙船を打ち上げる前にソフトウェアに磨きをかける必要がある。また、チームがミスを犯さないことが非常に重要だ。
「スイスキューブに近づくための計算にひとつでも誤りがあると、CleanSpace Oneが弾かれて宇宙に飛び出してしまう」と、プロジェクト責任者のミュリエル・リチャード・ノカは、声明の中で述べている。
研究チームによれば、このシステムは試作品の段階をパスしており、2018年の打ち上げに向けて開発とテストが行われる予定だ。』
スペースデブリ(space debris、orbital debrisとも)または宇宙ゴミ
なんらかの意味がある活動を行うことなく地球の衛星軌道上〔低・中・高軌道〕を周回している人工物体のことである。宇宙開発に伴ってその数は年々増え続け、対策が必要となってきている。
ここで言う「スペースデブリ」には、耐用年数を過ぎ機能を停止した(された)、または事故・故障により制御不能となった人工衛星から、衛星などの打上げに使われたロケット本体や、その一部の部品、多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片、デブリ同士の衝突で生まれた微細デブリ、更には宇宙飛行士が落とした「手袋・工具・部品」なども含まれる。なお、天然岩石や鉱物・金属などで構成された宇宙塵(微小な隕石)は「流星物質(メテオロイド)」と呼ばれ区別されている。
旧ソ連がスプートニク1号を打ち上げて以来、世界各国で4,000回を超える打ち上げが行われ、その数倍にも及ぶデブリが発生してきた。多くは大気圏へ再突入し燃え尽きたが、現在もなお4,500トンを越えるものが残されている。
これらスペースデブリの総数は増加の一途を辿っているうえ、それぞれ異なる軌道を周回しているため、回収及び制御が難しい状態である。これらが活動中の人工衛星や有人宇宙船、国際宇宙ステーション(ISS)などに衝突すれば、設備が破壊されたり乗員の生命に危険が及ぶ恐れがあるため、国際問題となっている。現にニアミスや微小デブリとの衝突などは頻繁に起こっており、1996年にスペースシャトル・エンデバーのミッション(STS-72)で若田光一宇宙飛行士が回収した日本の宇宙実験室(SFU)には、微細なものを含めると500箇所近い衝突痕が確認された。
スペースデブリは、地表から300 - 450kmの低軌道では7 - 8km/s、36,000kmの静止軌道では3km/sと非常に高速で移動している。さらに軌道傾斜角によっては相対的に10km/s以上で衝突する場合もありえる。運動エネルギーは速度の2乗に比例するため、スペースデブリの破壊力はすさまじく、直径が10cmほどあれば宇宙船は完全に破壊されてしまう。数cmでも致命的な損傷は免れない。さらに数mmのものであっても場合によっては宇宙船の任務遂行能力を奪う。5 - 10mmのデブリと衝突するのは弾丸を撃ち込まれるに等しい。
このような衝突を防ぐことを目的として地球近傍のデブリ等を観測する活動はスペースガードと呼ばれる。北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の宇宙監視ネットワーク(Space Surveillance Network、略称:SSN)、ロシアの宇宙監視システム(Space Surveilance System、略称:SSS)などでは約10cm以上の比較的大きなデブリをカタログに登録して常時監視が行われており、日本でも美星スペースガードセンター(BSGC)、上斎原スペースガードセンター(KSGC)の2施設でデブリの監視が行われている。カタログ登録されたデブリの数だけでも約9,000個に及び、1mm以下の微細デブリまでも含めると数百万とも数千万個とも言われる。・・・
軌道傾斜角(inclination)
ある天体の周りを軌道運動する天体について、その軌道面と基準面とのなす角度を指す。通常は記号 iで表す。
我々の太陽系の惑星や彗星・小惑星などの場合には、基準面は主星である天体、太陽の自転軸に垂直な平面つまり太陽の赤道面である。衛星の場合には基準面として主星の赤道面を採る場合と主星の軌道面を採る場合がある。人工衛星の場合には主星である地球の赤道面を基準とするのが普通である。
軌道傾斜角 iは0°≦i≦180°の範囲の値をとる。i=0の場合、その天体は基準面と同じ面内を軌道運動している。i=90°の場合、その天体の軌道面は基準面と直交している。iが90°を超える場合は天体の軌道運動の方向が主星の自転の方向と反対向き(逆行)であることを示す。(=ウィキペディア)
| 固定リンク
« 騙されてはいけない1304―今起こっている福島原発事故・「雨水処理設備(淡水化RO膜装置)からの漏えいにおける原因と対策!?」 | トップページ | 私の世界・知らない世界―「サル型ロボット、ドイツ研究機関(DFKI)が探査用に開発!?」 »
「面白話・話のネタ」カテゴリの記事
- 私の世界・面白い話のネタ―ネコ物語・『ぬいぐるみのニャー?・・「えっ、助けてくれるの?」のネコ!?』(2024.11.06)
- 私の世界・知らない世界―『太陽の活動「極大期」にNASAなど発表・・かなりヤバイのでは!?』(2024.10.17)
- 私の世界・面白い話のネタ―ネコ物語・『“汚れ”ネコ・・のネコ!?』(2024.10.12)
- 私の世界・知らない世界―『サウジアラビアの超高層ビル、「ジッダ・タワー」の建設が約7年ぶりに再開・・!?』(2024.10.06)
- 私の世界・面白い話のネタ―ネコ物語・『気分に合わせてネコや犬のクールな顔は・・のネコ!?』(2024.09.20)
「知らない世界」カテゴリの記事
- 私の世界・知らない世界―『太陽の活動「極大期」にNASAなど発表・・かなりヤバイのでは!?』(2024.10.17)
- 私の世界・知らない世界―『サウジアラビアの超高層ビル、「ジッダ・タワー」の建設が約7年ぶりに再開・・!?』(2024.10.06)
- 私の世界・知らない世界―『インド首相のナレンドラ・モディの・・二股膏薬!?』(2024.08.24)
- 私の世界・知らない世界―『インドで急速に普及する電子決済システム・・で、日本では・・!?』(2024.05.20)
- 私の世界・知らない世界―『宇宙天気予報・・「非常に活発」レベルの太陽活動!?』(2024.05.11)
コメント