私の世界・知らない世界―「緑茶成分、脳の機能向上に効果か・・!?」の茶カテキン
ネットのCNNのニュースから、「スペインのゲノム制御センターの研究チームはこのほど、緑茶に含まれる成分にダウン症の症状を改善する効果があるとの論文を発表・・」という話しです。
緑茶に含まれる成分でダウン症の認知症状が軽減できるかもしれない(CNNより)
・・で、「その緑茶の有効物質のEGCGって、何なんやろ・・?」と調べると、何んと! あの高名な“茶カテキン”の主要成分の1つ、エピガロカテキンガラート(epigallocatechin gallate、没食子酸エピガロカテキン、EGCg)という物質で、今回のダウン症の認知症状以外にも、ヒト免疫不全ウイルス (HIV) 感染や脳腫瘍、前立腺がん、子宮頸がん、膀胱がん等の癌、シェーグレン症候群を含むある種の自己免疫疾患・・等、疾病の予防や治療の有効性が研究されています。
その余りにも有効な薬事的性質は両刃の剣の意味があり、抗がん剤を併用している場合にその効きを殺ぐ(バイオアベイラビリティを低下)場合や一部、発癌性の可能性も指摘されています。
生物学的利用能(バイオアベイラビリティ:bioavailability)
薬剤学において、服用した薬物が全身循環に到達する割合をあらわす定数である。定義上、薬物が静脈内に投与される場合、そのバイオアベイラビリティは100%となる。・・
・バイオアベイラビリティFは、投与された薬物量DOSEのうち、未変化体のまま全身循環に到達した薬物量XBの割合である。(=ウィキペディア)
最も大切な話しとして、妊婦の人は胎児への影響を考えると濃いコーヒー(カフェイン)や緑茶(カテキン)は避けるのが懸命です。もちろん、アルコール類もです!
それと、“良いから”といって「多量に摂取は“禁物”」は当たり前の話です。
注)蛇足ながら没食子酸エピガロカテキンを(私のように)“ぼっしょく”と読むのではなく“もっしょく”だそうです。
『緑茶成分、脳の機能向上に効果か ダウン症治療への道も
(2016.06.17 Fri posted at 15:53 JST)
(CNN) スペインのゲノム制御センターの研究チームはこのほど、緑茶に含まれる成分にダウン症の症状を改善する効果があるとの論文を発表した。
ダウン症は21番染色体が1本多いことで発症する。染色体が多いために細胞内に発現する遺伝子も生成されるタンパク質も多くなり、それがさまざまな障害の原因となる。
「遺伝子の過剰発現を抑制する方法はない」と、同センターの研究者マラ・ディエルセン氏は言う。ディエルセン氏らは症状の大きな原因となっている遺伝子を突き止めるとともに、この遺伝子の活動を制御すればダウン症の認知症状を軽減できるのではと考えた。
そこで目をつけたのが緑茶に含まれるEGCGという物質だ。研究チームは87人のダウン症患者に1年間にわたって認知能力の訓練をする一方で、半数にはEGCGを、残る半数には偽薬を与えた。するとEGCGを投与された人々は視覚記憶や計算能力が改善し、脳の画像診断でも神経細胞間の連携や言語に関する脳の部位の機能に改善がみられたという。
ディエルセン氏は「ダウン症の薬物療法に道が開けた」と語る。
緑茶やその抽出物の健康効果に対しては世界各地の研究者が注目している。スイス・バーゼル大学のシュテファン・ボルクバト教授は2014年、健康な被験者12人に緑茶抽出物を投与する実験を行ったところ、脳内のワーキングメモリーに関係のある部位の連携がよくなったという。
もっとも、現時点で治療効果を期待するのは楽観的に過ぎるとボルクバト教授は言う。効果の範囲が不明であり、患者の症状も多岐にわたるため、「患者にとって完全に適切と言える薬」になるかどうかは分からないからだ。』
カテキン (catechin)
狭義には化学式C15H14O6で表される化合物であり、フラボノイドの1種である。分子量は 290.27。
広義にはその誘導体となる一連のポリフェノールも含み、この意味での使用例の方が多い。広義のカテキンは茶の渋み成分である。これらは酸化によって重合しタンニンとなる。・・・
<茶カテキン>
一方、日本人になじみの深い茶のカテキンは、1929年から辻村みちよらによって結晶状に単離されていった。茶カテキンの主要成分は、エピカテキン(epicatechin、EC) とそのヒドロキシ体のエピガロカテキン (epigallocatechin、EGC)、およびそれらの没食子酸エステルであるエピカテキンガラート (epicatechin gallate、没食子酸エピカテキン、ECg) とエピガロカテキンガラート(epigallocatechin gallate、没食子酸エピガロカテキン、EGCg)の4つである。これらの化合物は緑茶の渋み成分として含有量は EGCg>EGC>ECg>EC の順であり、合計すると茶葉中の水分を除いた総重量中の13~30%程度を占める。紅茶を作る際の発酵の工程では、カテキンはポリフェノールオキシダーゼ(polyphenol oxidase)によって酸化重合し、テアフラビンやテアルビジンへと変化する。・・・
高濃度茶カテキン
日本国内では、茶カテキンを有効成分として、消費者庁により「体脂肪が気になる方に」という、その機能性を示唆する表示が許可された特定保健用食品が販売されている。カテキンが体脂肪の蓄積を抑える機構は未解明であるが、一説には飲用したカテキンが、肝臓や筋肉中の脂肪消費酵素の活性を増強させ、脂肪をエネルギーとして消費しやすくする、胆汁酸の排出を促進すること等に起因するものと言われている。また、高濃度のカテキンを含有した各種サプリメントも、日本や欧米にて販売されている。
茶カテキンの安全性
カナダ、フランス、スペインなどでは緑茶カテキン摂取が原因と疑われる肝臓障害が報告されている。またこれまでに、カテキンは従来ヨーロッパにおいて一般医薬品として販売されていたが、肝臓移植まで必要とするような重症例がみられたことを受けて販売禁止措置がとられた。
日本でも茶カテキンを利用した製品は販売されているが、現時点では類似の健康被害の報告は見当たらない。ただし、一度に多量のカテキンを摂取する場合には、飲用方法などに注意する必要がある。
没食子酸(もっしょくしさん)エピガロカテキンエピガロカテキン、Epigallocatechin gallate、EGCG)
エピガロカテキンと没食子酸のエステルであり、カテキンの一種である。エピガロカテキン 3-ガラートとしても知られている。
EGCGは、植物の中で特に茶に最も豊富に含まれているカテキンである。また強力な抗酸化活性を示し、がんを含む多くの疾患に対して治療効果を有するのではないかと言われている。緑茶に含まれており、紅茶ではEGCGがテアルビジンに変換されているため含まれていない。高温環境では、エピメリ化が起こる可能性が高いが、30秒間沸騰する水に曝されていてもEGCGの全量の12.4%しか減少せず、短い時間での減少は統計的に有意ではなかった。実際に、沸騰水以上の温度の特殊な条件でも、量の減少はわずかにしか増大しなかった。EGCGは多くのサプリメントに用いられている。
EGCGとHIV
緑茶中のEGCGが、ヒト免疫不全ウイルス (HIV) 感染の治療において有益であるとの研究がある。EGCGは、実験室においてAIDS関連認知症と関連しているプラークを減少させ、gp120の働きを阻害した。
しかしながら、これらの効果はヒトにおける臨床試験では実証されておらず、緑茶がHIV感染を治療あるいは予防することを示してはいない。しかし、副作用と関係がない限りは、ウイルス量の制御を助ける可能性がある。これらの研究で使用されているEGCGの濃度は、実際に飲まれる緑茶では到達することが出来ない。EGCGとHIVに関するさらなる研究が進行中である。
EGCGとがん
その他のフラボノイドと共にEGCGが、脳腫瘍、前立腺がん、子宮頸がん、膀胱がんの治療に有益ではないかとする研究結果が増えてきている。EGCGは、がん細胞と正常細胞の生存に共に関与している抗アポトーシスタンパク質Bcl-xlに結合し阻害する。
EGCGとシェーグレン症候群
米ジョージア医科大学での研究によると、EGCGはシェーグレン症候群を含むある種の自己免疫疾患に対して予防効果があるのではないかとされている。研究結果から、(例えば緑茶中の)EGCGは、全身性炎症に関与しているTNF-αタンパク質に対する人体の防御機構を活性化することが示唆された。
薬物相互作用
南カリフォルニア大学でのマウスモデルを用いた最近の研究で、緑茶および緑茶抽出物(green tea extract, GTE)と一般的に関連付けられている多種多様の恩恵と対照的に、EGCGが抗がん剤ボルテゾミブに結合し、顕著にバイオアベイラビリティを低下させ、治療効果を無くしてしまうことが明らかにされた。この研究を指揮したSchönthal博士は、多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫の治療中の患者に対しては、緑茶および緑茶抽出物製品の摂取は強く禁忌とすべきとしている。
発癌性の可能性
茶ポリフェノールの中、EGCGは化学抗がん剤であるエトポシドおよびドキソルビシンと同様に強力なトポイソメラーゼ阻害剤であることが明らかにされている。この性質は抗発癌活性に必要であることが考えられるが、一方この活性によってEGCGが発癌性を示す可能性も考えられる。妊娠中のポリフェノール化合物の多量の摂取は新生児白血病のリスクを増大させることが疑われている。バイオフラボノイドサプリメントは、妊娠中の女性に使用してはならない。妊娠中の茶の大量摂取と小児悪性中枢神経 (CNS) 腫瘍のリスクの増大との間に強い相関があることが明らかにされている。(=ウィキペディア)
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