私の世界・知らない世界―「今年4月に成立したアイヌ新法・・!?」
ネットのCNNのニュースから、「今年4月に成立したアイヌ新法・・」を全然、知らずにいましたが、この記事を読まなかったら、「もう、一生アイヌの人のことは考えなかった・・」と思うのです。
特に、アイヌ語を話せることが出来る人が2人なんて、新法により廃止された「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)」は「何の役にも、立っていなかったの・・!?」と言いたくなります。
小学校の頃、アイヌの舞踊団の人達の公演やアイヌのお話を聞いた記憶があります。戦後民主教育の申し子ですから、アイヌの人のことは強く胸に刻まれています。今その風潮が全くありませんし、政府のゴリ押しだらけです。
特に最近、アイヌのことを聞いたことがありません。以前、アイヌ出身の人が参院選に出たこともあったと記憶しています。調べると、萱野茂さんは亡くなっていますがアイヌ初の日本の国会議員でした。
薬害やらい病患者、沖縄の人達と同じに、日本政府は、まず心から詫びる必要があり、それが新法には欠けています。
萱野 茂(かやの しげる、1926年6月15日 - 2006年5月6日)
日本のアイヌ文化研究者(博士(学術))であり、彼自身もアイヌ民族である。アイヌ文化、およびアイヌ語の保存・継承のために活動を続けた。二風谷アイヌ資料館(シシリムカ二風谷アイヌ資料館)を創設し、館長を務めた。政治活動面ではアイヌ初の日本の国会議員(1994年から1998年まで参議院議員)。在任中には、「日本にも大和民族以外の民族がいることを知って欲しい」という理由で、委員会において史上初のアイヌ語による質問を行ったことでも知られる。・・・(=ウィキペディア)
アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(平成31年4月26日法律第16号)
日本の法律。2019年(平成31年)4月19日に成立、同年4月26日公布、同年5月24日施行。この法律の附則2条により、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)は廃止された。
<概要>
この法律の目的は、1条に次のように定められている。
「この法律は、日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化が置かれている状況並びに近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み、アイヌ施策の推進に関し、基本理念、国等の責務、政府による基本方針の策定、民族共生象徴空間構成施設の管理に関する措置、市町村によるアイヌ施策推進地域計画の作成及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けたアイヌ施策推進地域計画に基づく事業に対する特別の措置、アイヌ政策推進本部の設置等について定めることにより、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。」
アイヌモシリ(=国立民族学博物館のサイトより)
アイヌ(アイヌ語で人間の意味)は、歴史的に北海道を中心に、サハリン(樺太)南半分やクリール(千島)列島、さらに本州北端におよぶ広大な領域に生活をはぐくんだ狩猟採集民である。アイヌは、自らの生活領域をアイヌモシリ(人間の大地・世界)とよんだ。アイヌにとって人間生活に必要な動植物をあたえてくれる自然環境はカムイ(神)であり、これとの共生をはかる多様な儀礼は、現代的にいえば、まさに生態系の循環をはかるために欠かせない重要な役割をもっていた。初夏から秋にはサケ、マスが大量に河川を遡上し、秋から冬には群れなすエゾシカをたやすく捕獲でき、動物性食品や衣服の材料を確保できた。また初夏にはオオウバユリの根茎から良質のでんぷんを採取できた。寒冷な風土ではあるが、わずかに雑穀栽培もおこなっていた。
19世紀中ごろのアイヌの居住地域
『アイヌ新法成立、日本の「消えゆく民族」とは
(2019.07.28 Sun posted at 10:19 JST)
Photo Illustration/ Masataka Ishida, Getty
(CNN) 日本で生まれ育ったミュージシャンの加納沖(OKI)氏(62)は以前、自分がアイヌ民族であることを知らなかった。
アイヌの男性と離婚した日本人の母が、加納氏の実父がアイヌであることを伝えなかったのだ。加納氏がその事実を知ったのは二十歳の時だった。
北海道大学の研究者ジェフリー・ゲーマン氏によると、研究者や日本の保守政治家らは数十年にわたり、アイヌを「消えゆく民族」と表現してきたという。
しかし、アイヌの血を引きながらアイヌとして数えられていない人の数が数万人に上る可能性がある、とゲーマン氏は指摘する。アイヌに対する差別により、多くのアイヌの人々は何年も前に自分たちの素性を隠し、日本人と同化する道を選んだため、若いアイヌの人々は自分がアイヌであることを知らぬまま生きているという。
今年4月に成立したアイヌ新法には、北海道のアイヌ民族が日本の「先住民族」であると初めて明記された。同法には、アイヌの人々が受け入れられやすい社会作り、アイヌの地域経済の強化、さらにアイヌ文化の可視化のための施策が盛り込まれている。
根無し草
神奈川県で育った加納氏は、ジャマイカのレゲエに魅了された。当時、加納氏は自分がアイヌであることすら知らなかったが、レゲエの歌詞に込められた政治的メッセージに感銘を受けた。
ジャマイカのレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの歌に、祖先を忘れた人々は根無し草と同じようなものといった歌詞がある。加納氏がこの歌詞を知ったのは10代の頃だが、大人になってからの方がより深く歌詞の意味が理解できるという。
1950年ごろ撮影/Three Lions/Hulton Archive/Getty Images
自分がアイヌと知った加納氏は、アイヌについてより深く学ぶ決意をする。実父に会うために北海道北部に向かった加納氏は、反体制的なスタンスで知られる現地のアイヌコミュニティーにすぐに親近感を抱いた。
しかし、加納氏のコミュニティーへの帰属感は長続きしなかった。アイヌの人々の中には、コミュニティーの外で育った加納氏は、日本の統治下で彼らが味わった苦しみを完全に理解することはできないとし、受け入れを拒否する者もいた。
北海道で育ったアイヌの清水裕二氏(78)も露骨な差別を受けた。他の子どもたちから犬と呼ばれ、見た目が違うという理由でいじめを受けたという。
清水氏の両親は、偏見を避けるため、清水氏にアイヌの慣習やアイヌ語を一切教えなかった。清水氏は母から、成功したければアイヌであることを忘れ、日本人のように生きよと言われたという。
アイヌモシリ
アイヌやアイヌ語の起源については諸説あるが、依然としてはっきりしない。
アイヌは、北海道とロシア東岸沖の千島列島、樺太を居住圏とする先住民で、熊やオオカミ、さらに水、火、風といった自然の要素に具現化された神を崇拝していた。
15世紀に和人が交易のために、さまざまなアイヌの集団が支配する領土に進出したが、間もなく紛争が勃発した。1457年から1789年にかけて多くの紛争が起こり、1789年のクナシリ・メナシの戦いの後、和人がアイヌを制圧した。
1800年代中頃、日本では近代化とともにナショナリズムが高まり、政府は1899年に北海道旧土人保護法を制定し、アイヌを同化しようとした。
西洋人に食事を与えるアイヌの家族の絵/De Agostini Editorial/Getty Images
同法に基づき、北海道で日本の義務教育制度が施行され、さらに土地の権利や主張に関するアイヌの従来の制度が撤廃された。その後、アイヌは土地を没収され、政府の一連の計画を通じて日本の慣習の適用を余儀なくされた。
絶滅の危機に瀕した言語の保護を目的とした先住民族と研究者の組織、絶滅危機言語プロジェクト(ELP)によると、現在、アイヌ語を母語とする人は世界でわずか2人しか存在しないという。
また高い貧困率と失業率がアイヌの社会発展を阻んでいる。アイヌの高校や大学の進学率は、北海道の平均を大幅に下回っている。
アイヌの人口も減少しているようだ。2013年の北海道のアイヌ人口は、公式の数字で約1万7000人とされ、北海道の総人口の約2%を占めていた。しかし、2017年の最新の記録では、約1万3000人に減っている。
しかし、アイヌの研究者であるゲーマン氏は、アイヌの人口は最大で政府の調査結果の10倍に上る可能性があると指摘する。多くのアイヌの人々が、自分がアイヌであることを隠したり、自分の祖先を忘れたり、知らない人もいるためだ。
新法で開ける新しい未来?
日本を拠点に活動する先住権の専門家マーク・ジョン・ウィンチェスター氏は、アイヌ新法について、アイヌに対する認知の向上や差別禁止の点で「わずかな前進」と一定の評価をしながらも、アイヌの人々に真の権利を与えるという意味では不十分との見方を示す。先住民保護策の策定において最も重要な柱となるべき自己決定権が同法には反映されていない、とウィンチェスター氏は指摘する。
またウィンチェスター氏とゲーマン氏は、日本政府は法案を起草する際、すべてのアイヌの意見聴取をしなかったと批判する。
一方、アイヌの清水氏は、新法には政府からの謝罪の言葉が欠けているとし、日本人が過去の過ちを認めれば、われわれは前に進めると述べた。
「カムイノミ」と呼ばれる儀式をするアイヌの人々=2008年/Dai Kurokawa/EPA/REX/Shutterstock
また清水、加納両氏は、新法によってアイヌの人々の教育振興が図られるべきだと訴える。
現在、アイヌの若者には、数校の私立大学でアイヌの言語や文化を学ぶための奨学金や助成金が支給されているが、加納氏は、政府の資金提供の対象をアイヌの伝統保護だけでなく、アイヌの人々の支援にまで拡大すべきと指摘する。
加納氏は、より多くのアイヌの人々が、より高度な教育を受け、弁護士、映画監督、大学教授などの職に就く必要があるとし、さもなければアイヌの文化は常に日本に支配されてしまう、と述べた。』
| 固定リンク
« 私の世界・知らない世界―「エジンバラの城の門から宮殿の門までのロイヤルマイル・・!?」 | トップページ | 騙されてはいけない1564―今起こっている福島原発事故・「福島第一原発 使用済み核燃料保管容器 ふた開閉 確認できず・・!?」 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 私の世界・面白い話のネタ―「ロンドン、最古とみられる劇場の跡を発見・・!?」(2020.06.15)
- 私の世界・知らない世界―「最も劇的な儀式用マスク・・て、日本でも!?」(2020.01.06)
- 私の世界・知らない世界―「今年4月に成立したアイヌ新法・・!?」(2019.07.29)
- 私の世界・面白い話のネタ―「小鳥も凄い! けど、余りにも衝撃的な“バンクシー(Banksy)”・・!?」(2018.06.15)
- 私の世界・知らない世界―『中国の最も古い交易路の「茶馬古道」・・!?』(2017.08.09)
「面白話・話のネタ」カテゴリの記事
- 私の世界・面白い話のネタ―ネコ物語・『ぬいぐるみのニャー?・・「えっ、助けてくれるの?」のネコ!?』(2024.11.06)
- 私の世界・知らない世界―『太陽の活動「極大期」にNASAなど発表・・かなりヤバイのでは!?』(2024.10.17)
- 私の世界・面白い話のネタ―ネコ物語・『“汚れ”ネコ・・のネコ!?』(2024.10.12)
- 私の世界・知らない世界―『サウジアラビアの超高層ビル、「ジッダ・タワー」の建設が約7年ぶりに再開・・!?』(2024.10.06)
- 私の世界・面白い話のネタ―ネコ物語・『気分に合わせてネコや犬のクールな顔は・・のネコ!?』(2024.09.20)
「知らない世界」カテゴリの記事
- 私の世界・知らない世界―『太陽の活動「極大期」にNASAなど発表・・かなりヤバイのでは!?』(2024.10.17)
- 私の世界・知らない世界―『サウジアラビアの超高層ビル、「ジッダ・タワー」の建設が約7年ぶりに再開・・!?』(2024.10.06)
- 私の世界・知らない世界―『インド首相のナレンドラ・モディの・・二股膏薬!?』(2024.08.24)
- 私の世界・知らない世界―『インドで急速に普及する電子決済システム・・で、日本では・・!?』(2024.05.20)
- 私の世界・知らない世界―『宇宙天気予報・・「非常に活発」レベルの太陽活動!?』(2024.05.11)
コメント