私の世界・知らない世界―「韓国では、検査の行われている割合がかなり高い・・、それでウイルスによる死亡率が低水準に・・!?」
ネットのCNNのニュースから、「韓国では、検査の行われている割合がかなり高い・・、それでウイルスによる死亡率が低い水準にとどまっているのか・・?」という話、医学博士のケント・セプコヴィッツ氏は「それよりも、性・年齢構成、喫煙率などに起因する!?」としています。
感染拡大に見舞われた韓国だが、ウイルスによる死亡率は低い水準にとどまっている/Chung Sung-Jun/Getty Images AsiaPac/Getty Images
以下の表は18~19日の主要国における患者累計とその内の死亡数、増加率、死亡率です。
死亡率はイタリアやイラン、イラク、スペインなどで特に高くなっています。
気になるのはアメリカと英国の増加率が高く、医療崩壊が差し迫っているのでは?と思われるのです。というのも、1000人当たりのベッド数が日本の13.1やドイツの8.0に比較すると英国やアメリカ(カナダも)は3.0以下と極端に少ないことが分かります。
(2019年9月17日:日医総研リサーチエッセイNo.77、医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019-日本医師会総合政策研究機構 前田由美子より)
『新型コロナの死亡率、韓国で低くイタリアで高い理由は
(2020.03.19 Thu posted at 19:30 JST)
(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大が一段と深刻化する中、米国内では感染の有無を確かめるための検査体制の強化に大きな関心が集まっている。
検査は感染リスクの効果的な低減につながるとされているが、現在多くの専門家は、より広範な検査と最大の懸念事項となっている統計データとの関連付けにも着手している。そのデータとは、新型コロナウイルスに感染した際の生存率だ。
検査と生存率には明確な関連があるように見える。感染拡大が深刻な2つの国を考えてみよう。
韓国では、検査の行われている割合がかなり高い一方(今月8日時点での検査回数は国民100万人あたり3692回)、感染した人の死亡率は相当低い(本稿執筆時で約0.6%)。
これに対しイタリアの検査規模は、人口100万人あたり約826人だが、感染と診断された人の死亡率は韓国のおよそ10倍。世界保健機関(WHO)のデータによると、これまで2000人を超える人が亡くなっている。
なお米国では、体調を崩した人が病院などへ行っても検査を受けさせてもらえずに帰されるという話を耳にする。検査できる体制が整っていないことや、患者の側が検査対象となる基準を満たしていないことが理由だが、これを受けて、検査不足により国民全員が死に至るといったコメントが多く寄せられる事態となっている。
しかし、はっきりさせておくべきなのは、検査で命が救えるのはあくまでもそれによって次の感染の予防が可能になるからだという点だ。医師が個々の患者を早期に把握できるからではない。いわゆる「早期治療」がメリットを発揮するのは、疾病に対する効果的な薬が存在する場合である。たとえば敗血症にかかったのなら、早めに抗生物質を投与しなくてはならない。手遅れになれば、患者は死亡する。
ただ新型コロナウイルスについては、特定の治療法が存在しない。実際のところ、新型コロナウイルスで感染者が死に至るのは急速に進行する肺不全といった症候群が原因とみられており、これは一般的な臨床症状といえる。多くの感染症が同じ問題を引き起こし得る。集中治療室(ICU)で勤務する医療の専門家は、数年がかりでその治療にあたっている。
それではなぜ、検査に熱心な韓国でこれほど死者が少なく、検査プログラムの導入が遅れたイタリアではこれほどまでに多くの人が亡くなっているのか? 単に多くの検査を実施して軽症者も「感染者」のグループに組み込んだため、重症者のもたらす統計的なインパクトが薄れただけなのだろうか?
どうもそれは疑わしい。現時点では、感染者のパターンに大きな違いがあることが理由だと思われる。そして遠からず、病院や医療関係者にのしかかる負荷の度合いも、死者数の違いを生み出す大きな要因になっていくだろう。
これは米国の新型コロナウイルス対策に期待する人々にとっておそらくいい知らせとは言えない。現状で米国の検査体制の整備は遅れに遅れているが、単に検査そのものを行っただけでは問題の解決にならないことを示唆するものだからだ。
すでに多くの論文が指摘してきたように、イタリアの人口構成は世界の大半の国々とかなり異なっている。2015年の国連の報告書によれば、同国の人口の28.6%は60歳以上だ(33%の日本に次いで世界で2番目に高い割合)。これに比べ、韓国では60歳以上の人口は全体の18.5%と、世界で53番目の水準になっている。
この不均衡がもたらす影響は、新型コロナウイルスによる死者を分析すれば一目瞭然だ。イタリアでは本稿執筆時において、死者の9割を70歳以上の人々が占めている。
対照的に、韓国での感染拡大ははるかに若い年代の間で発生した。感染者のうち、60歳以上の占める割合は2割に過ぎない。最も感染者の多い年代は20代で、全体の3割近くがここに集中している。
次に性別の問題がある。新型コロナウイルス感染者の男女別の割合はだいたい半々だが、生存率には差がみられる。中国で起きた最初の感染拡大に関するデータによると、全体の死亡率は男性の4.7%に対し女性は2.8%と大きな開きがあった。韓国にとってはいいニュースだ。同国の感染者の62%は女性が占める。
喫煙の習慣もまた、低い生存率と明確に関連付けられる要因だ。両国の喫煙率はイタリアの24%に対し韓国が27%とほぼ同じ。ところが男女別の喫煙率には大きな違いがある。イタリアでは男性の28%、女性の20%が喫煙するが、韓国の喫煙率は男性のおよそ50%に対して女性は5%未満(!)でしかない。
言い換えれば、韓国では若年層並びにほとんど煙草を吸わない女性たちの間で、イタリアでは高齢者と超高齢者を中心に感染拡大が起きているということだ。後者の多くは喫煙者である(我々はイタリアの感染者の男女比を把握していない)。
こうした基礎的な人口統計データの特徴から、感染拡大で大打撃をこうむった2カ国の死亡率の違いが説明できる。それは同時に、米シアトルのケースを解明する手掛かりにもなる。高齢者介護施設で感染拡大が発生した同市の死者数は、米国内でも際立って高い。
現在何が起きているかを正確に把握するためには、日々の事例を更新し、患者の年齢や性別に関する情報を織り込んでいく作業が必要になる。
迂闊(うかつ)なことに米国は、効果的な検査プログラムが存在しない状態に陥っている。これは途方もない失策であり、結果として新型コロナウイルスの感染拡大に拍車をかけてきた(今後もかけるだろう)。
しかし肝心なのは、検査体制の不備と感染を生き延びることとは全く別の話なのだという認識だ。ウイルスに対する生存率を上げるのであれば、非常に異なる種類の投資や訓練、専門知識が必要になってくる。
最適なプログラムを実現するには、特殊なベッドを用意して床ずれを予防できるようにしなくてはならない。薬剤師には高齢者向けに特化した投薬の知識が求められ、看護師は体力の衰えた患者の介護に慣れている必要がある。
やみくもに検査の回数や対象を増やし続けるだけでは、すでに感染した米国民数千人の命は救えない。
感染者の増加を見越し、今以上に準備態勢を整えることで、それは可能になるだろう。そして韓国とイタリアが置かれた状況の際立った違いを考慮するなら、今こそ専門家集団からなる委員会を立ち上げるべきだ。老人病専門医や社会科学者、ICUの専門家などを招集し、最良の方策をまとめて高齢者のリスクに対処する。それが新型コロナウイルスの感染から高齢者を守り、必要な治療を施すことにつながるのである。』
◇医学博士のケント・セプコヴィッツ氏による寄稿です。同氏はニューヨーク市にあるメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC)に籍を置く感染対策の専門家です。記事における意見や見解は全てセプコヴィッツ氏個人のものです。
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