私の世界・知らない世界―「アメリカが静かに台湾を徹底武装させていく!・・とBBC!?」
ネットのBBCニュースの【解説】記事から、「アメリカが静かに台湾を徹底武装させていく・・」という話です。
アメリカも日本も中国と締結した条約で「一つの中国」としており、台湾は中国の一部です。昔から国ではない組織やグループへの武器支援(CIAなどによる)はアメリカの常套手段なのです。
文中に「中国海軍は世界最大」とありますが、それは艦船の隻数(中国は約360隻程度で、米国は297隻)のことで、大型軍艦となると数的・技術的に米国が圧倒的に優位に立ちます。
米国には11隻の原子力空母があり、中国には普通空母の「遼寧」と「山東」の2隻しかありません。
私的感想ですが、中国の台湾への「侵攻」や香港のような「中共への組み入れ」は、中国・台湾共に地獄行の所業に思えるのです。
ウクライナ、パレスチナの次は台湾?
『【解説】アメリカが静かに台湾を徹底武装させていく
(2023年11月8日:ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ)
・台湾は蔡英文総統の下でアメリカとの協力関係を強調している
アメリカのジョー・バイデン大統領は最近、台湾に対する8000万ドル(約120億円)の資金供与を承認した。アメリカ製の軍備品を購入させるためのもので、中国は「遺憾であり反対する」とした。
はた目には、たいした額ではなかった。先進的な戦闘機1機の値段にも満たない。台湾はすでにアメリカの軍備品を140億ドル分以上発注している。たかが8000万ドル増えることに、大きな意味はあるのだろうか?
台湾へのどんな軍事支援にも激怒するのは、中国の標準的な反応だ。ただ、今回は何かが違う。
今回の8000万ドルは融資ではない。元はといえばアメリカの納税者の金だ。アメリカはこの40年以上で初めて、自国の資金を使って、公式に承認していない場所に武器を送ることになる。これは対外軍事融資(FMF)と呼ばれるプログラムの下で行われる。
昨年のロシアのウクライナ侵攻以来、FMFはウクライナに約40億ドルの軍事支援を送るのに使われてきた。
さらに、アフガニスタン、イラク、イスラエル、エジプトなどに数十億ドルを送るのにも使われてきた。ただし、これまで支援を受けてきたのは、国連に承認された国や組織だけだった。台湾は違う。
アメリカは1979年、国家として承認する相手を台湾から中国に変えた。しかし、アメリカはその後も、台湾関係法の下で台湾に武器を売り続けた。重要なのは、台湾が中国から攻撃された場合に自衛できる程度の兵器を売ることだった。米中関係を不安定にするほど多くの兵器は売らなかった。アメリカは何十年間も、この「あいまい戦略」を取りながら、中国とビジネスを行ってきた。同時に、台湾にとっての最も強固な支援国でもあり続けてきた。
しかしこの10年で、台湾海峡の軍事バランスは中国に大きく傾いた。もはや古いやり方は通用しない。アメリカは自国の政策に変化はないと主張するが、重要な点で変わっている。米国務省はFMFについて、台湾の承認を示すものではないと説明している。
しかし台湾から見れば、アメリカが台湾との関係を再定義しているのははっきりしている。アメリカが台湾に再軍備を迫っていることからも、そのことは明らかだ。そして台湾は、中国相手では完全に劣勢であり、アメリカの助けが必要だ。
台湾の与党の立法委員(議会議員)で、蔡英文総統や米議会有力者らと親しい王定宇氏は、「アメリカは台湾の軍事力向上の必要性を強調している。中国に対し、米台は共に立っているとの明確な戦略的メッセージを送っている」と話す。
王氏は、今回の8000万ドルは巨大な氷山の一角だと説明。バイデン氏が7月に大統領権限で、台湾に5億ドル相当の軍事サービスと軍用品の売却を承認したことを指摘する。
王氏はまた、台湾が2個大隊の地上部隊を訓練のためにアメリカに派遣する準備をしているとし、これは1970年代以来のことだと話す。
しかし、重要なのは資金であり、今回の供与は今後5年間で100億ドルにまでなりうるものの第1弾だと王氏は言う。
台北を拠点とするシンクタンク「プロスペクト・ファウンデーション」の賴怡忠会長は、軍備品が絡む取引の場合、長ければ10年ほど時間がかかると話す。「だがFMFだと、アメリカは自国の在庫から、自国の金を使って直接兵器を送ってくる。そのため一連の承認手続きを経る必要がない」
アメリカの連邦議会下院が分裂し、ウクライナへの数十億ドル規模の支援が保留されていることを考えれば、これは重要なことだ。ただ、台湾はウクライナに比べてかなり、超党派の支持を受けやすいと思われる。
それでも、パレスチナ自治区ガザ地区での戦争は、ウクライナでの戦争と同様、アメリカの台湾への武器供給を間違いなく圧迫するだろう。バイデン氏はウクライナとイスラエルへの戦争支援パッケージを提案しており、その中には台湾への支援も含まれている。
・中国の海軍は世界最大規模となっている
アメリカからの資金が何に使われるのかと台湾の国防部(国防省)に聞けば、関係者はすべてお見通しといった笑みを浮かべ、口を固くつぐむ。
しかし前出の賴氏は、根拠のある推測は可能だと指摘する。そして、兵器として非常に効果的で、使い方をすぐに覚えられる、対戦車ミサイル「ジャヴェリン」と地対空ミサイル「スティンガー」が候補だとする。
「それらを台湾は十分には保有しておらず、大量に必要としている」と賴氏は言う。「ウクライナでは、スティンガーはあっという間に底をついた。ウクライナの使用状況からすると、台湾は現在の保有量の10倍は必要だろう」。
台湾情勢を長年注視してきた専門家らは率直な見方を示す。それは、台湾は中国の攻撃に対して、嘆かわしいほど準備不足だというものだ。
問題は数多い。台湾軍は老朽化した戦車を何百台も保有しているが、新型の軽量ミサイルのシステムが少なすぎる。軍の指揮系統、戦術、方針はこの半世紀、更新されていない。多くの前線部隊には、本来の人員の60%しかいない。
台湾は中国で防諜活動を行っていないとされる。台湾の徴兵制度は崩壊している。
兵役につく期間は2013年に、1年からわずか4カ月に短縮された。ただ来年、また1年に戻される。だが、もっと大きな課題がある。兵役につく若者らから、冗談めかして「サマーキャンプ」と呼ばれるほどの内容なのだ。
「定期的な訓練はなかった」と、最近兵役を終えた男性は話す。「2週間に1回くらい射撃場に行って、1970年代の古い銃を使った。的に向けて撃ちはした。だが、狙い方をまともに教わらないから、みんな的を外しっぱなしだった。運動はゼロだった。最後に体力テストがあるが、何の準備もしなかった」。
男性によると、軍の司令官らは若者たちに関心を示さず、訓練を施そうという思いもまったくないようだったという。兵役期間が短いこともその一因だという。
・台湾の軍隊は中国と比べると大きく劣っている
アメリカでは、台湾が軍を改革して再建するには時間が足りないとの意識が強い。そのため、アメリカが台湾軍の再教育にも乗り出している。
台湾の政治および軍事の指導者たちは何十年もの間、台湾侵略は中国にとってあまりに困難でリスクが大きいとの信念に大きく依存してきた。イギリスと同様、台湾も海軍と空軍を優先し、陸軍を軽視してきた。
「基本的な考え方は、中国とは台湾海峡で交戦し、海辺で全滅させるというものだった。そのため、台湾は空と海の防衛に多くの資源を投入した」と、前出の賴氏は言う。
しかし、中国は今や世界最大の海軍と、台湾よりはるかに優れた空軍を持っている。あるシンクタンクが昨年実施した戦争ゲームの演習では、中国と衝突した台湾の海軍と空軍は、戦闘開始96時間で全滅するとの結果が出た。
台湾はアメリカの強い圧力を受け、「台湾要塞」戦略へとかじを切りつつある。中国による制圧を極めて困難にしようというものだ。
中心になるのは地上部隊であり、歩兵であり大砲だ。浜辺で侵攻してくる敵を撃退し、必要とあらば町や都市、そして密林の山奥の基地から、中国の人民解放軍(PLA)と戦う。ただ、これだと台湾防衛の責任を、時代遅れの陸軍に押し付けることになる。
・台湾の最大の強みは丘陵地帯が多い島であることとされる
「アメリカが1979年に国交を断った後、台湾軍はほぼ完全に孤立した。だから台湾軍は、ヴェトナム戦争時代の米軍の方針から抜け出せない」と賴氏は話す。
ただ、台湾もアメリカも、このことを最近まで気にしていなかった。1990年代から2000年代にかけ、台湾とアメリカの企業は中国各地に工場を建設していた。
中国は世界貿易機関(WTO)への加盟を目指し、実現させた。世界は中国経済を受け入れ、アメリカは貿易と投資が台湾海峡の平和を確保すると考えた。
しかし、習近平国家主席の台頭とそのナショナリズム、そしてロシアによるウクライナ侵攻が、そうした安穏とした想定を吹き飛ばした。
台湾にとって、ウクライナ侵攻から得た教訓は衝撃的なものだった。戦場を支配するのは大砲で、その発射速度は速く、精度は恐ろしいほど高い――。
ウクライナの兵士らは、砲弾を発射したらすぐ移動しなければならないことを学んでいた。さもなければ数分のうちに、ロシアの「対砲兵射撃」を浴びるからだった。
一方、台湾の砲兵部隊の多くは、ヴェトナム戦争か第2次世界大戦時代の砲を使っている。砲弾は手で込め、移動は困難で遅い。格好の標的になる。
こうした台湾のもろさが、アメリカを行動へと追い立てている。台湾の地上部隊がアメリカに派遣されて訓練を受け、アメリカの指導教官が台湾に来て海軍や特殊部隊に張り付いているのは、そのためだ。
・中国の習近平国家主席は、必要であれば武力を使って台湾を統一するとしている
台北にある国防安全研究院のリサーチ・フェロー、ウィリアム・チャン氏は、台湾が単独で中国を抑止することは望めないと話す。これは、ウクライナでの戦争からのもうひとつの教訓だ。
「台湾は重要なのか、国際社会は判断を求められている」とチャン氏は言う。「G7(主要7カ国)やNATO(北大西洋条約機構)が、自らの利益にとって台湾は重要だと考えるなら、台湾情勢を国際問題化しなければならない。そうすることで、中国は代償についてよく考えるからだ」。
中国のこのところの振る舞いは、意図せず台湾情勢の国際問題化を助けていると、チャン氏は指摘する。
「中国は南シナ海と東シナ海で膨張主義の動きを見せている」、「その結果、日本では軍事予算が倍増されている」。
結果的に、この地域の同盟関係が再構築されつつあると、チャン氏は説明する。アメリカ、日本、韓国の歴史的な首脳会談、次世代原子力潜水艦の建造を競うオーカス(イギリス、アメリカ、オーストラリア)やクアッド(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)のような軍事同盟の重要性の高まり、アメリカとフィリピンの関係強化などだ。
「中国はこの地域全体の現状を変えようとしている」とチャン氏は話す。「それは台湾の安全保障が南シナ海や東シナ海とつながっていることを意味する。台湾はもはや孤立していないことを意味する」。
アメリカでは現在、どこまで台湾を支援すべきかについて激しい議論が交わされている。中国を長年注視してきた多くの人々は、アメリカが公式に関与を表明すれば、中国を抑止どころか刺激することになると話す。しかしアメリカは、台湾が独力での自衛を望めないことも分かっている。
長年の中国ウォッチャーは、アメリカの姿勢をこう言い表した。「戦略的あいまいさの問題については沈黙したまま、台湾を徹底的に武装させていく」。』
(英語記事 The US is quietly arming Taiwan to the teeth)
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