私の世界・面白い話のネタ―『A級順位戦、前代未聞の出来事・・で、「将棋界の常識は世間の非常識」!?』
ネットの現代ビジネスから、『A級順位戦で佐藤天彦九段が「マスク未着用による反則負け」となった前代未聞の出来事・・』の詳しいことが分かる記事です。
Youtubeのニュースなどで、事件の内容を知ろうとしても詳しい事情は無理、なんとなく喉にトゲの刺さったような厭な感じがしていました。
今回の記事を見て少しは納得出来たので紹介します。
多分ですが、私の棋力は素人二段程度?、“ボナンザ4(=将棋ソフト)”にほとんど負けます。将棋界ウォチャーとしては歳が歳なので、相当な(=半世紀以上)者と思っているのです。
「反則負けにしてください」とクレイムを付けた永瀬拓矢王座を非難するのは、本当に「筋が悪い一手:悪手」と思います。
話は別に:「梨泰院の事故」で、古くからある言葉の「将棋倒し」というのを新聞社などの各報道機関は使えず、「雑踏事故」や「群集倒し」などと変な間に合わせ言葉にしています。将棋連盟の苦情からだそうです。
意外な感じですが、将棋連盟は思った以上に実力?があるのです。
それと余談ですが、棋士の実力伯仲は凄まじいものがあり、昼食に「何か、軽いものを!」と対戦相手が云うのを聞いただけで、「やったー、何か体調悪そうやし勝てる!」と思うのだそうです。
なので、加藤一二三九段の毎度“うな重”は有名な話です。(このブログでも紹介=以下のURL)
・私の世界・棋士の面白い話―奇人加藤一二三九段の魅力①
http://masaki-knz.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-9e8e.html
・私の世界・棋士の面白い話―奇人加藤一二三九段の魅力②
http://masaki-knz.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-fa24.html
『「佐藤天彦マスク問題」の裏側にあるもの…「軍曹」を悩ませた「将棋界の常識は世間の非常識」
(2022.11.03)
元名人の佐藤天彦九段が前代未聞の「マスク未着用による反則負け」となった、A級順位戦。厳格なことで知られる対戦相手の永瀬拓矢王座は、世間の非難がまさか自分に向くとは思いも寄らなかった。棋界でジョークのように言われる「千駄ヶ谷の常識は世間の非常識」はどうやらホントもあるようで…。
・「反則負けにしてください」と5回要求
10月31日夜、レジェンドの勝利に将棋ファンは沸き立った。52歳の羽生善治九段が、永瀬拓矢王座に勝ち、王将戦挑戦者決定リーグ5連勝となって1位確定となったのだ。暫定2位の豊島将之九段にもプレーオフの目があるとはいえ、通算100期の大一番をかけて、羽生九段が藤井聡太五冠と激突する可能性が非常に高くなった。
〈一番苦手としていた永瀬さんを、ここで倒すなんて凄い!〉〈羽生先生と藤井先生のタイトル戦、想像するだけで胸が熱くなる〉といった書き込みが続出する中、〈やっぱり永瀬先生には佐藤天彦戦の影響があったんだな〉という感想があった。
永瀬拓矢は、藤井の研究パートナーとしても知られるタイトルホルダー。ストイックな姿勢と勝負に辛い棋風から、将棋界では「軍曹」の愛称で知られる。その永瀬が負けた心理的影響とは、3日前に発生した「マスク反則」騒動だった。
将棋連盟は今年2月より、健康上の理由がある場合や飲食など一時的な場合を除き、対局時にマスクを外した場合、反則負けになるという規定を定めている。
ところが10月28日に行われたA級順位戦、永瀬vs.佐藤戦の終盤、盤面に集中する中で佐藤九段がマスクを外したまま思考の海に沈んでしまったのだ。激戦は深夜に及んでおり、立会人もいなかった。当事者以外に将棋会館に残っているのは、数名の観戦記者と連盟関係者のみだった。当日の様子を知る将棋連盟関係者が言う。
中断時の局面の形勢は、将棋ソフトの評価値で言えば500点程度、後手番の佐藤がやや有利な局面だった。その後、佐藤の反則負けが決定し、一般ニュースで報じられた際、朝日新聞が「ちなみに囲碁の場合は、マスク着用を促す注意がなされ、それに従わなければ失格となる」と報じたことも手伝い、「なぜ一言、本人に注意してからの反則負けにしなかったのか」という意見がSNSなどにさかんに投稿された。
さらにはホリエモンが「永瀬、せこい」という書き込みをしたこともあり、将棋界は久々の“炎上”に襲われてしまったのである。
「永瀬先生は、佐藤先生がマスクを外してから、5回も記者室にやってきて『反則負けにしてください』と要求しました。ただ、記者としても自分たちで勝負を決めるわけにはいかないので、渉外担当理事だった鈴木大介九段に連絡して、裁定を受けるため時間がかかっていたんです」
・千駄ヶ谷の常識は世間の非常識?
「千駄ヶ谷の常識は世間の非常識と言われるでしょう。私たちが言うと、なかなか世間の人に納得してもらえないので言いにくいのですが、今回の件は、天彦の負けで仕方ないです。もちろん将棋界でもいろいろな意見がありますが、永瀬の行動は正しいですよ」
あるトップ棋士は、こう言う。
「永瀬とすれば、このまま秒読みに入ってしまったら、(注意をうながすため)席を立つこともできなくなるので、その前に裁定を出してもらう必要があった。自分が不利だから、反則負けを主張するなんていうことはありえない。そもそも永瀬と天彦とは仲がよく、遺恨があったわけでもありません。
マスク外しは反則負け、というこのルールの施行は、前述の通り今年2月。このルールが適用される以前には、かなりの棋士が対局途中にマスクを外していたという。藤井聡太五冠も一時的にマスクを外していた対局があったが、それに対して誰も何も言わなかった。
「2月からルールとして適用されたのですが、天彦先生は遅刻が多いことでも知られるように、規定を守ることにややルーズなところもある。もしかしたらルールを知らなかったかもしれません。しかし、それは本人の責任だとしかいえませんね」(将棋観戦記者)
天彦が将棋以外のことを永瀬に考えさせていた、100%盤上に集中させなかったという時点で、棋士の感覚としては、もうアウトなんです。注意といいますが、注意されるまでOKというルールではない。マスクに関する臨時対局規定に事前注意に関することが書いてないということは、一時的という表現を常識的に解釈すれば3分でも5分でもマスクを外したら負けとされても仕方がない。鈴木理事、佐藤康光会長の判断は正しかったと思います」
・「マスク外し」は「二歩」と同じ
将棋界では、そもそも対局する相手に、直接何かを働きかけるということは不文律として禁じられているのだという。たとえば、昔は地方から遠征してきた棋士が将棋会館に宿泊したものの、翌朝の対局時間になっても起きてこないということが稀にあった。こういうときに、誰かが起こしたり、呼びにいったりすることはできないし、してはならないとされていた。
「助言はもちろんのこと、互いの利害に関係することで、本人以外の人間の助力があってはならないというのがこの世界の暗黙のルールなのです。対局者はもちろん、第三者でも、直接“注意する”ということ自体、相当なことがない限りしません。ただ、そうした慣習は一般に知られていない。世間から『なぜ注意しなかったのか』と非難されることに、棋士たちはショックを受けているかもしれません」(将棋連盟関係者)
注意の時点でルール上は負けなので、「佐藤さんマスクしてもらえませんか」「分かりました」で済む問題ではないと彼らは言う。
「マスク外しは盤上のルールとは別のものですが、臨時対局規定に入っているわけですから、あいまいなものではないんです。これで“注意”などしたら、むしろマスクをしている棋士にとって公平性の意味でおかしいし、規定の意味がなくなってしまう。だから永瀬のしたことは正しいし、連盟の下した判断も間違っていません。
ただ、このマスクのルールは悪法だと思っています。ルールはルールなので、これは守らなければいけませんが、現状の対局状況を見れば、お互いが会話を交わす感想戦の時だけマスクをすること、という規定で十分だと思う」(前出・棋士)
たしかに将棋には「二歩」(自分の歩がある筋に持ち駒の歩を打ってしまうこと)、「二手指し」「王手放置」などのうっかりミスによる反則があり、これらは、誰も注意などせず即、自動的に負けとなる。いってみれば、佐藤の「マスク負け」は「二歩」と同じということだ。
・天才たちも人の子だった
このマスク反則負けルールは、「さすがにこれだけ警告すればマスクを外す人はいるまい」という性善説によって導入されたという。ところがトップリーグであるA級順位戦でまさかの反則負けが出て、将棋界が激震してしまったというわけだ。
佐藤九段は11月1日、将棋連盟に裁定の取り消しと対局のやり直しなどを求める不服申し立てを行い、自らのSNSで申立書を公表した。前出の棋士が語る。
「自らの行為については反省、お詫びを表明してはいるのですが、法的な相当性、公平性にまで言及して反則負けの取り消しを求めているため、連盟の執行部としても、弁護士を入れた協議が必要になるでしょう。正直、裁定が覆るとは思いませんが、佐藤康光会長は天彦と同じA級で残留争いを演じている利害関係の当事者。将棋界に禍根を残すことにならなければ良いのですが……」
今回の「事件」は、その一部始終が映像で中継されており、対局時の模様をファンが確認できる状態にあった。有力棋戦の多くがネット中継される今日、今回の「マスク問題」は現場にも甚大な影響を与えると見られている。
「飲食のタイミングなどを除き、少しでもマスクを外せば、将棋ファンから『反則負けではないか』との指摘が出ることが予想されます。進行中の竜王戦をはじめ、カメラの前で対局する棋士は、これまで以上に”息苦しい”対局を余儀なくされるでしょう」(前出・連盟関係者)
名人3期の実績を持ち、「貴族」と呼ばれる実力者が起こした「天彦の乱」。将棋連盟はどのような結論を出すのだろうか。』